2021年9月8日、パーソルプロセス&テクノロジー(以下、パーソルP&T)は、気象庁の委託を受け、2020年10月より草津白根山や阿蘇山など国内4箇所の活火山においてドローンを活用した火口周辺調査を実施したことを発表した。

阿蘇山での調査の様子

 気象庁では2019年より、人が近づきにくい火口周辺においても噴気の状態や地熱域の正確な状況把握ができる、ドローンを用いた火山活動の調査を進めてきた。

 今回の「無人航空機による火山噴火時等における火口周辺調査」は、火山活動の推移を適切に把握するためにパーソルP&Tとイームズロボティクスが実施。火口内およびその周辺の噴気の状態や地熱域の状況を把握するために、ドローンを用いて可視画像(静止画、動画)や熱赤外画像(静止画)を取得した。取得したデータは、各種火山観測データと合わせて火山活動の状況を把握するために活用される。

調査対象火山
2020年10月13日~15日:草津白根山
2020年11月24日~25日 :口永良部島
2021年2月15日~16日 :阿蘇山
2021年2月16日~19日 :霧島山(新燃岳)

 標高2,000mクラスの火山上空における低温下での飛行は、ドローンやカメラのバッテリー容量の消費が通常より早まるため、調査では1回あたりの飛行時間、飛行ルートを短く策定。また、太陽光によって活火山の地表面温度に影響が生じるため早朝に撮影を行った。

 イームズロボティクスが開発したドローンに可視カメラと熱赤外カメラの両方を搭載することで、飛行回数を削減し、効率的にデータを取得した。

口永良部島新岳の観測範囲と撮影データ

出典:国土地理院/地理院タイル (標高タイル)を加工して作成したもの。
図1で示したA地点の熱赤外画像(左)と可視画像(右)。地表面温度や噴煙状況を可視化し、活火山の活動状況を把握。従来の可視画像(右)に加えて地表面温度のデータを参照することで、より正確な活火山の状況を把握することができる。