川崎重工業(以下、川崎重工)、ティアフォー、損害保険ジャパン(以下、損保ジャパン)は、ラストワンマイルにおける物流課題の解決を目的とした「自動搬送ロボット領域における協業に向けた実証実験の詳細検討に関する覚書」を2021年8月16日に締結。自動搬送ロボットの共同開発、およびサービス構築における連携を視野に入れた実証実験の詳細検討を開始することに合意したと2021年8月31日発表した。3社は、ラストワンマイルの物流課題として想定されるさまざまなケースからテーマを選定し、具体的な実証実験の実施検討を進めていく。

実証実験で使用する自動搬送ロボット

 高齢者人口の増加やドライバー不足などが社会課題となる日本では、ラストワンマイル配送のさらなる効率化が求められており、その解決策として、3社は自動運転技術の実用化に取り組んできた。

 川崎重工は、今後注力するフィールドのひとつである「近未来モビリティ」 の一環として、オフロード走行技術の知見を活かし、荒れた路面や段差のある道路でも安定して走行できる自動搬送ロボットを開発している。

 ティアフォーは、オープンソースの自動運転OS「Autoware」の開発を牽引し、自動運転技術を用いたサービス実現に向けた研究開発を行っている。その一環として、自動搬送ロボットに転用可能な自動運転技術の開発を進めており、これまで自社開発のロボットを利用して実証に取り組んできた。

 損保ジャパンは、自動運転技術開発を支援するため「自動運転専用保険(実証実験向けオーダーメイド型)」を提供し、これまでに全国各地の自動運転車による公道実証実験に参加。2020年10月には、自動走行ロボットによる配送や作業に関わるさまざまなリスクに対する包括的な補償を行う「自動走行ロボット専用保険プラン(実証実験向けオーダーメイド型)」を開発している。

 3社は、ラストワンマイルにおける物流課題の解決に向けた自動搬送ロボットの活用可能性を模索するための協力体制を構築し、地域間における人手を介さない配送を目的とした実証実験を行う、としている。

基本合意の概要

 ラストワンマイルの社会課題を解決する自動搬送ロボットの共同開発およびサービス構築における連携を視野に入れながら、ティアフォーの自動運転技術を組み込んだ川崎重工の自動搬送ロボットによるラストワンマイル配送事業 の事業性・技術性を検証するため、実証実験の詳細に関し、共同で検討を行う。各社の役割は以下。

川崎重工
自動搬送ロボットの開発・提供
自動搬送ロボットの公道走行許認可取得に必要なハードの設計・改造
自動搬送ロボットのハードの故障・修理対応

ティアフォー
オープンソースの自動運転ソフトウェア「Autoware」を活用した自動搬送ロボットの開発・提供
自動搬送ロボットを運行するために必要な運行管理システム、遠隔監視システムなどの開発・提供
自動搬送ロボットの自律走行オペレーションの遂行
実証実験に係る高精度3次元地図の開発委託と提供

損保ジャパン
実証実験計画の策定
自動搬送ロボット運行にかかるリスクアセスメント
自動搬送ロボット向け保険の提供

 今後3社は覚書に基づいて実証実験の詳細を検討していく。また、自動運転社会におけるさまざまなユースケースを検証し、地域だけでなく社会全体のラストワンマイル課題の解決に幅広く取り組んでいくとしている。