2021年7月14日、ヘキサメディアは、山梨県甲州市とJAフルーツ山梨の協力のもと、果実盗難抑止のためのドローン運用実証実験を行ったことを発表した。

 山梨県は桃やぶどうの生産地として知られ、白桃やシャインマスカットは全国的にも人気があるが、その盗難件数も年々増加している。甲州市では昨年、高級品種など少なくとも約200万円の被害が出ている。しかし、盗難が多発する時期と出荷繁忙期が重なるため、被害総額が大きくなければ果樹農家は警察に被害届を出すことができない。そこでヘキサメディアは、ドローンを活用して盗難抑止のための農園監視ができないか検証を行った。

実証実験 概要

実施日時 :2021年6月28日・29日
実施場所 :山梨県甲州市塩山大藤地区「らくらく農園」
実験内容
1. 赤外線カメラによる不審者および不審車両の発見
2. 暗視カメラ撮影による不審者および不審車両の発見
3. 強光スポットライト+可視カメラによる不審者および不審車両の特定

1. 赤外線カメラによる不審者および不審車両の発見

 高度約50mより撮影を実施。不審者役を特定し、桃の木に手を伸ばしている様子や、カゴに摘み取る様子など、不審な動きを撮影することができた。車両の特徴なども捉えることができ、不審者や不審車両の特定に役立つ可能性が高いと見込まれる。

2. 暗視カメラ撮影による不審者および不審車両の発見

 目視では確認することはできない赤外線スポットライトと組み合わせて撮影することで、赤外線カメラ同様、不審者役の動きや車両の様子を撮影することができた。(暗視カメラは地上より撮影)

3. 強光スポットライト+可視カメラによる不審者および不審車両の特定

 本来、夜間での可視カメラ撮影には照明が必要だが、同一のカメラで赤外線と可視を切り替えて撮影が可能。撮影映像では車両の荷台の状況が確認できた。夜間で周辺に照明がない場合でも、スポットライトによる車種や車両ナンバー、不審者の見た目等、多くの情報を得られる可能性がある。(強光スポットライトは地上より実施)

 今回の実証実験では、約50m上空の⾚外線カメラによる撮影で不審役の様⼦を把握することができた。暗視カメラ・強光スポットライトの撮影は地上での実施となったため、次回のぶどう園実証実験では、それらを飛行させて検証を行うとしている。また、ぶどう棚上空からの⾚外線カメラで適切な⾓度と⾼度の組み合わせを検証し、地形追従からの自動航行テストも実施する予定。
 ヘキサメディアは、より実践的な盗難抑止のためのドローン運用事業化実現に向けてさらに検証を行うとしている。

実証実験映像を確認している様子