2021年7月5日、フジタはセンシンロボティクスと共同で、ドローンを遠隔地からウェブブラウザでリモート操作でき、カメラの映像情報などを複数拠点で同時共有できる「遠隔臨場ドローンシステム」を開発したと発表した。同システムを活用することで、作業全体の様子や進捗状況が広範囲に臨場確認でき、監督官の意思で細部の監視も可能となる。

 フジタは施工中の「令和元-4年度横断道羽ノ浦トンネル工事」(徳島県小松島市)において同技術を試行し、ドローンの空撮映像を用いて遠隔臨場が行えることを確認している。遠隔臨場とは、ウェアラブルカメラやネットワークカメラを活用し、現場に行かず離れた場所から確認・立会を行うことである。

「遠隔臨場ドローンシステム」を使用した遠隔臨場のイメージ

 国土交通省が推進する検査や立会などの遠隔臨場では、ウェアラブルカメラやタブレット端末を現場職員が準備し、監督官の指示でカメラの向きや撮影場所を移動していた。また、撮影者やカメラの配置により撮影範囲も限定されるという課題があった。

 遠隔臨場ドローンシステムは、センシンロボティクスの遠隔監視システム「SENSYN CORE Monitor」を元に建設現場向けに開発。ウェブブラウザを使用して複数拠点からドローンが撮影するリアルタイム映像を確認し、機体の向きやカメラのズーム(14倍)を操作することができる。ドローンの制御・通信には4G LTEを使用。映像は、検査時に使用する写真撮影用巻尺の1cmピッチの目盛りをモニターで視認できるフルHDに対応している。また、リアルタイムでの複数映像の表示や、過去の遠隔臨場記録の再現も可能だ。

ウェブ遠隔制御によるドローン運用
遠隔臨場で法面(のりめん)の長さを検尺
遠隔臨場のドローン操作の様子

 また、災害時には遠隔拠点からの操縦でドローンのリアルタイム映像・地形情報を提供し、被災状況の早期把握を支援する業務に応用が可能。赤外線カメラや高輝度ライトを使用した夜間飛行を行うこともできる。

 今後はドローンの制御・通信に5Gを活用することで、映像の高画質化、通信の高速化を推進するとしている。