2021年1月28日、自律制御システム研究所(以下ACSL)とブルーイノベーションは、ACSLの国産産業用ドローン「Mini」(※1)と、ブルーイノベーションのソフトウェアプラットフォーム「Blue Earth Platform(※2)」(以下BEP)を連携させた屋内作業のDXソリューションを共同開発したことを発表した。
 5G通信、エッジAIを融合させた「プラント自動点検」、RFIDリーダーを搭載した「倉庫内自動在庫管理」の2種類で、1月よりリリースする。

共同展開ソリューション

5G通信/エッジAIドローンによる「プラント自動点検ソリューション」

 5G通信を活用し、大量の画像データを高速かつリアルタイムに解析する。点検の効率化・低コスト化を実現する。(協力会社:京セラ)

RFIDドローンによる「倉庫内在庫管理ソリューション」

 RFIDリーダー搭載ドローンでデータを取得し、倉庫内棚卸作業のデジタル化・効率化を実現する。(協力会社:トッパン・フォームズ)

共同開発・展開の狙い

 ACSLは、独自開発した自律制御技術と非GPS環境下での自己位置推定技術「ビジュアルスラム(※3)」を有しており、それらを搭載した高性能な国産ドローンの販売実績が豊富である。
 一方、ブルーイノベーションは、複数の自律移動ロボットを協調・連携させて複雑な業務を遂行させるソフトウェアプラットフォーム「BEP」と、非GPS環境下での自己位置推定技術「マルチセンサポジショニング(※4)」を有しており、導入実績を積み上げている。
 今回の協業により、両社の強みである非GPS環境下で飛行するドローンを活用した屋内作業のDXソリューションの開発を進め、社会実装を加速していく。

5G通信/エッジAIドローンによる「プラント自動点検ソリューション」

 プラント内の人手による点検作業を自動化させるソリューション。近年、プラントや工場では、機械や設備の故障・不具合の兆候を事前に捉え、トラブルが発生する前にメンテナンスを行う予兆保全のニーズが高まっている。効率的・効果的な予兆保全には現場設備の点検状況をデータ化し、リアルタイムに共有・蓄積する必要がある。
 現在は人の巡回による目視点検が主流で、多くの現場で手書きのチェックリストが使用されている。そのため点検に多くの人員と時間を要し、その結果も属人化し共有・蓄積されづらいという課題がある。

 こうした人手依存、効率化の限界、属人化リスクなどの課題の解決を目指し「プラント自動点検ソリューション」を開発。5G通信デバイス(5Gコネクティングデバイス)を搭載したドローンが巡回することで、人が介することなく設備の状態やデータをデジタル化する。取得データはエッジ側(ドローン側)でリアルタイムにAI解析され、その場で解析結果の把握が可能である。
 取得した大量のデータは高速かつ安全にBEPで共有・蓄積され、解析結果に応じてBEP上でドローンやカメラに新たなミッションを自動で付与し遂行させることで、高速かつ効率的、低コストでの点検を実現する。

▼ソリューション詳細
https://www.blue-i.co.jp/solution/inspection/4056/

・搭載機器 :5Gコネクティングデバイス
・協力会社 :京セラ株式会社
・ドローン :ACSL「Mini」
・システム :ブルーイノベーション「BEP」

5Gコネクティングデバイス搭載ドローン
コネクティング×ドローン(京セラ)

RFIDドローンによる「倉庫内在庫管理ソリューション」

 倉庫内棚卸作業を自動化、デジタル化、効率化するソリューション。倉庫内物流では、入出庫管理やその情報をもとにした理論在庫管理など一部業務のデジタル化が進んでいるものの、棚卸業務は作業員による計数作業が主流となっている。他業務を止めての人手による棚卸作業の非効率性、かつ高所作業での危険性が指摘されている。
 この過重労働、人為ミスリスク、作業員の安全確保課題の解決を目指し「倉庫内在庫管理ソリューション」を開発。RFIDリーダーをドローンに搭載し、作業員による計数作業にかえてRFIDリーダー搭載ドローンでデータ取得することにより、倉庫内棚卸作業をデジタル化・効率化する。
 また、BEPを活用することで複数のドローンによる同時棚卸や、既存システム(AGVやロボットなど)と連携させ、他の作業工程も含めた統合管理が可能となる。今後、業務終了後にドローンをはじめとした既存システムが全自動で在庫棚卸を行い、翌朝に結果を確認できるサービスにも対応していく。

▼ソリューション詳細
https://www.blue-i.co.jp/solution/inventory/4060/

・搭載機器 :RFIDリーダー
・協力会社 :トッパン・フォームズ株式会社
・ドローン :ACSL「Mini」
・システム :ブルーイノベーション「BEP」

RFIDリーダー搭載ドローン
RFIDドローンによる「倉庫内在庫管理ソリューション」(ブルーイノベーション)

各社コメント

ACSL 代表取締役社長 兼 COO 鷲谷聡之氏
 2021年はACSLにとって飛躍の年になります。ドローンのセキュリティに対する関心が高まり、国産ドローンが注目されています。その中でACSLは、セキュアで安心な国産ドローンの開発や量産化体制の構築を進め、順調に進捗しています。そうした取り組みを出口に向けて集約させ、一気に飛躍する年にしたいと考えています。
 その始まりとして、今回2つのソリューションをブルーイノベーションとリリースしました。新型コロナウイルスの感染拡大で、ドローンによる業務の省人化、省力化のニーズは確実に高まっています。この2つのソリューションのポイントは、屋内等の非GPS環境でもドローンが自律飛行し、画像撮影や在庫管理が自動でできるということです。これらのソリューションを社会実装していくことで、屋内作業を効率化したい、低コスト化したいという皆様の悩みを解決できるものと確信しています。

ブルーイノベーション 代表取締役社長 熊田貴之氏
 ブルーイノベーションは、ドローン・ロボット×AI×自動化によるソリューションをBEPでつなぎ、来るべき自律分散型社会のインフラを支えるべく、プラットフォームのリーディングカンパニーとして邁進しています。今回、複数のドローン・ロボットを協調・連携させて複雑な業務を遂行させる「BEP」と、ACSLの国産ドローンが融合したことで、物流やプラントでの課題を解決するソリューションの社会実装がいよいよ開始します。今後、非GPS環境下でのソリューションに強みを持つ両社がさらに協業していくことで、自動点検や棚卸に留まらないドローンによる屋内作業向けDXソリューションの開発、そして社会実装は確実に広がるものと期待しています。


※1 産業用ドローン「Mini」
 ACSL独自開発の自律制御技術、ビジュアルスラムの技術により小型化・高性能化し、非GPS環境の狭小空間でも安定した飛行、かつ最大38分の長時間飛行が可能なドローン。アプリケーション別に需要の高い各種センサ搭載にも対応している。https://www.acsl.co.jp/solutions/inspection-industrial-plant-gps-denied/

産業用ドローン「Mini」外観

※2 Blue Earth Platform(BEP)
 BEPは、複数の自律移動ロボットを協調・連携させて複雑な業務を達成させるためのソフトウェアプラットフォームで、様々な自律移動ロボットをネットワーク上でつなぐとともに、利用者がそれら自律移動ロボットのスペック等を意識することなく業務の自動化・最適化を実現する。BEPは「One Command, All Mission」をテーマとしており、BEPの利用者が自律移動ロボットに対する煩雑な設定や操作を意識することなくひとつの命令で、複数のドローンやAGV等がBEPから割り当てられた業務を自動で実行する。https://www.blue-i.co.jp/advantage/bep/

※3 ビジュアルスラム
 カメラで撮影した映像から自己位置の推定と環境の地図作成を同時に行う技術。

※4 マルチセンサポジショニング
 用途に応じて複数のセンサを接続することでドローンやAGVの自己位置を算出するブルーイノベーションの独自技術。