2020年12月17日、ブルーイノベーション、きっとすき、オーイーシーと大分県は、大分県杵築市で地域定着を見据えたドローン物流の実証実験を行ったことを発表した。

 本実証実験は、大分県ドローン物流活用推進事業を活用した取り組みで、大分県杵築市を対象とした地域における実装をゴールとして、ドローンシステムインテグレーターであるブルーイノベーション、地元企業のオーイーシー、きっとすきが連携して検証を進めるものである。

実験実施の背景

 大分県杵築市では少子高齢化が進み過疎化が進んでいる。中山間地では日常の買い物が困難な「買い物弱者」が増加し、移動販売や宅配サービスを行っているが維持コスト等により十分に行き届いているとは言えない状況である。また、観光面においても農業文化公園や上村の郷などの観光施設があるものの、COVID-19などの影響もあり、観光収入が減少している。そこで、物流ドローンの活用可能性に着目し、観光利用と組み合わせた実証実験を実施した。

実証実験 概要

 ドローン物流の社会実装では、採算性の確保が大きな課題になっている。そのため、本事業では観光体験と組み合わせた新たな活用モデルを提案するとともに、①大型ドローンによる大量輸送、②物流ドローン体験の観光活用、③テクノロジー利用による人的運用コストの削減の3つの施策を検証した。

①大型ドローンによる大量輸送
 SkyDrive製「カーゴドローン」(最大ペイロード20kg)を使い、神田楽市(スーパーマーケット)から約1km離れた山香中学校まで全校生徒150名分の菓子類を運搬し、生徒会長に手渡した。その後、神田楽市から約1km離れた杵築市営サッカー場で練習する大分トリニータのサッカースクールにスポーツドリンクを運搬。(2020年12月11日)

(左)SkyDrive製「カーゴドローン」、(右)実験の様子


②物流ドローン体験の観光活用
 自律制御システム研究所製の「PF2」(最大ペイロード2.75kg)で神田楽市から約6.3km離れたスポーツ合宿施設「上村の郷」まで補助者なし目視外飛行を行い、ドローンでは杵築市名産ハモ鍋の食材を運搬し「空飛ぶハモ鍋」を参加者が実食するなどのイベントを開催。大分県内外から約100名の見学者が参加した。(2020年12日12日)

(左)自律制御システム研究所製の「PF2」、(右)実験の様子


③テクノロジー利用による人的運用コストの削減
 NTTドコモのLTE通信により、ドローンの位置をリアルタイムでモニタリングし、京セラ製の通信デバイスを活用することで、離着陸時のドローンポートへの第三者侵入の有無を確認し、少人数での運用時に重要な遠隔での安全確認方法を検証した。(2020年12日10日)

実験の様子


 大分県は傾斜地が多く標高差のある土地であり、沿岸部と山間部から、海の幸と山の幸を双方向で運搬するなどのドローンによる物流需要が見込める。山間部の温泉街に海の幸をドローンで産地直送するような大分観光の名物となる、採算のとれるドローン物流の新たなモデルケースとして、今後は関係各社で課題を洗い出し、検討を進めていくとしている。