インプレス総合研究所は、水中ドローンビジネス市場の動向を調査し、産業用水中ドローンの市場規模を発表する。また、本調査結果の詳細を新産業調査レポート『水中ドローンビジネス調査報告書2021 -建設から設備点検、調査、養殖、水難救助まで水中ロボットが切り拓く新市場-』(https://research.impress.co.jp/rov2021)として、2020年12月23日(水)に発売(予約受付中)する。

 日本は排他的経済水域の面積が世界第6位という海洋国家であり、さまざまな水域で働くロボットの開発が進められてきた。特に産業用途においては、ケーブルを介して遠隔操縦を行うROV(Remotely Operated Vehicle:遠隔操縦無人潜水艇)、自律航行や自律制御ができてケーブルを持たないAUV(Autonomous Underwater Vehicle:自律型無人潜水艇)といった無人潜水艇が活用されており、そのうち小型のROVが水中ドローンと表されている。水中ドローンの利用は土木建築事業者や点検事業者、水産事業者が中心となっており、潜水士の作業の代替、または作業を補助するツールとして注目を集めている。特に国内の河川や港湾施設は老朽化が進んでおり、点検作業を効率的に行えるツールのひとつとして水中ドローンは期待されている。

調査結果

 2020年度の日本国内の産業用水中ドローンの市場規模(機体等の販売金額)は20億円と推測される。2021年度には23億円、2023年度には38億円に達すると見込まれる。また、2020年度の国内の産業用水中ドローンの機体販売台数は低価格帯から高価格帯まで合わせて3,000台程度、2023年度には8,000台弱になると予測される。

 従来のROVは性能が高い一方で、300万円以上の高額な機体が多く見られ、中には1,000万円以上の機体も存在している。これに対し、2017年以降、中国や米国といった海外を中心に10万円後半から100万円程度で購入可能な安価な機体が発売されるようになった。これにより国内の産業用水中ドローンの機体販売数が徐々に増加している。また業務用にセンサーやバッテリー、ケーブル類などをカスタマイズした機体も増えている。今後もソナーなどの機器の低価格化によりカスタマイズした機体の販売が広がっていくと見られる。

 一方で課題も多くある。産業用水中ドローンの利用拡大のためには、信頼性の高い部品がリーズナブルかつ日本国内でタイムリーに入手できるサプライチェーンの構築と、機体のメンテナンスやサポート体制の充実が重要である。特に過酷な環境で活用されることが多い水中ドローンはメンテナンスが不可欠である。これらの課題に対して各機体メーカーやサービス提供事業者が機体のメンテナンスや保険のサポートを充実させ始めており、こうした環境整備が進むことで産業用水中ドローンの活用も増えていくと見られる。

『水中ドローンビジネス調査報告書2021』構成・各章の概要

 本書は、水中ドローン関連ビジネスを展開する企業や有識者、行政機関などへの取材を基に、市場動向やビジネス動向、行政の動向、課題、今後の展望などを分析した1冊である。水中ドローンを活用し業務効率化を進めたい企業や、そうした企業に向けて水中ドローンを活用したソリューションを提供したい企業にとって、参考となる具体的な情報が網羅されている。

第1章「水中ドローンビジネスの現状」
産業用水中ドローンの市場規模や機体の販売台数、水中ドローンの価値や効果、活用が期待されるシーン、プレイヤーの整理、業務活用の課題などをまとめている。

第2章「産業分野別の動向」
「海洋土木建築」「インフラ・設備点検」「水産業」「公共(遭難救助や災害調査)」「環境調査」の5分野について、水中ドローン活用の現況、水中ドローン活用のメリットや特長、課題、今後の展望などを分析。

第3章「各省庁の動向」
水中ドローンに関係する省庁の動向を解説。

第4章「企業動向」
水中ドローン機体メーカー、業界団体の動向を解説。

書名   :水中ドローンビジネス調査報告書2021
著・編  :藤川理絵、インプレス総合研究所
発行所  :株式会社インプレス
発売日  :2020年12月23日(水)
価格   :CD(PDF)版、ダウンロード版 85,000円(税別)
      CD(PDF)+冊子版 95,000円(税別)
判型   :A4判
ページ数 :172ページ

▼「水中ドローンビジネス調査報告書2021」詳細、予約
https://research.impress.co.jp/rov2021