2020年11月19日、KDDIは、東京都から「ドローンを活用した物資搬送のための調査・検証事業」を2020年9月2日に受託したことを発表した。東京都は11月19日に、KDDIのモバイル通信による目視外自律飛行を実現するスマートドローン運行管理システムなどを活用し、災害発生時における孤立地域へのドローン緊急物資搬送の実証実験を奥多摩町峰谷地区で実施する(※1)。今後2020年度中に、奥多摩町、檜原村、日の出町で本実証実験を実施していくとしている。

実証実験イメージ

 2019年10月に発生した台風19号では、奥多摩地域の都道の崩落により一部地域で交通が遮断され、集落の孤立が発生した。東京都はドローンによる物資搬送を実施したが、飛行ルートの事前検証などの準備に時間を要することや、ドローン自体の荷物積載力に課題があった。

 本実証実験では、将来的な災害に備えたドローンによる飛行ルートの選定、片道3km程度の往復飛行および最大10Kgの物資の搬送を実証する。また、2019年の台風19号で実際に孤立が発生した奥多摩町で実証することで、地域の実態に応じたドローン活用の有効性を検証する。

実証実験の概要

実施内容

1. 奥多摩町、檜原村、日の出町での、ドローンの離発着地の選定と離発着地間のモデルルートの設定。
2. ドローン飛行前の電波環境や支障物などの環境調査。
3. ドローンの自律飛行と東京都災害対策本部などからの遠隔監視。
4. 調査や実証実験の実施により得られた成果などについての報告。

スマートドローン運航管理システムについて

 モバイル通信を用いた遠隔監視・制御により、ドローンの目視外自律飛行を実現する。リアルタイムでの上空高精細気象予測や3次元地図に対応し、ドローンの飛行状況のリアルタイム監視や、緊急着陸などの遠隔操作などを行うことができる。
 本実証実験では、都庁舎にて奥多摩地域でのドローン搬送の飛行監視・制御を行う。

▼スマートドローン
http://smartdrone.kddi.com/


実証実験で使用するドローン

プロドローン製 PD6BType3C
サイズ1,625mm(モーター軸間距離)
重量12Kg(バッテリーを除く)
最大積載量最大30Kg
飛行時間28分(ペイロード無し)

東京都の災害対策について

 災害発生時における対応力向上のため、定期的に防災訓練が実施されている。奥多摩町における本実証実験は「令和2年度 東京都・北区合同総合防災訓練」におけるドローン物資搬送訓練として実施するものである。

▼東京都防災ホームページ 防災訓練
https://www.bousai.metro.tokyo.lg.jp/taisaku/torikumi/1000067/1002505/

※1 東京都 令和2年度 東京都・北区合同総合防災訓練の実施について(2020年10月23日)https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2020/10/23/12.html