2020年9月8日、KDDIは、モバイル通信ネットワークに対応したスマートドローン (※1) の無人地帯における目視外飛行 (※2) を顧客自身で運用可能とする「KDDIスマートドローン お客さま運用メニュー」を、2020年11月上旬から提供開始予定であることを発表した。提供開始に先立ち、2020年9月30日から受け付けを開始する。

運用イメージ

 KDDIは2016年から、スマートドローン機体をはじめとしたモバイル通信による遠隔監視・制御でドローンの目視外飛行を実現するプラットフォームの開発を進めてきた。2019年6月には、機体から運航管理までをKDDIが一括して作業を請け負う用途別ソリューションの提供を開始した。

 一方、2018年9月の無人地帯における目視外飛行の省令改正 (※3) 以降、山間部での物資輸送 (※4) や災害発生時のインフラ被害状況把握などを実施するため、自社社員により迅速な運用を行いたい、という顧客からのニーズも高まっていた。

 本メニューは、広域監視における目視外飛行を実現するための運航管理システムや機体をはじめ、損害保険や保守サービス、通信サービス、さらにフライトトレーニング (※5) などをワンパッケージで提供し、顧客自身の手でのドローン運用を可能にする。スマートドローンは、アプリケーション上で飛行ルートを設定し、そのルートに沿った自律飛行を行うため、複雑な操縦などは不要である。また、フライトトレーニングでは、ドローン初心者向けの講習や目視外飛行に対応した講習などが受講できる。

 本メニューを利用することで、緊急を要する災害時のインフラ被害状況把握や人手不足が課題となっている工場などの広域設備の巡回監視が、顧客自身のドローン運用によって可能となる。今後は、測量や物流配送といったさまざまな分野で活用できるよう、さらなるサービスの充実を目指す。また将来的には、第5世代移動通信システム「5G」を活用し、その特徴である大容量・低遅延を活かした高精度な映像伝送およびAI分析を掛け合わせた、より効果的なインフラ点検や巡回警備などを検討していく、としている。

KDDIスマートドローン
https://biz.kddi.com/service/iot/iot-cloud-drone/

※1 KDDIの携帯通信ネットワークに対応した、遠隔制御による安全な長距離飛行が可能なドローンサービス https://biz.kddi.com/service/iot/iot-cloud-drone/

※2 飛行をするためには国土交通省のドローンの飛行許可・承認申請が必要。

※3 無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査要領」が改正され、補助者なし目視外飛行の要件が明確となった。

※4 2020年8月5日に提供を開始した 伊那市助け合い買い物サービス「ゆうあいマーケット」でのドローン配送は、本プラットフォームを利用し実現している。参考:2020年8月5日ニュースリリース https://news.kddi.com/kddi/corporate/newsrelease/2020/08/05/4601.html

※5 順次提供開始予定のオプション。

「KDDI スマートドローン お客さま運用メニュー」について

1. 特徴

・KDDIが一括して作業を請け負う従来の「KDDI スマートドローン おまかせメニュー」(※6) に対し、顧客自身がドローンを運行することで無人地帯における広域監視を可能にする。

・運航管理システム、運航管理アプリケーション、スマートドローン機体に加え、損害保険、保守サービスをセットで提供する。

・オプションとして、必要補正情報を配信する高精度測位情報配信サービスやフライトトレーニングの提供を予定している。

※6 本メニューの提供に伴い「鉄塔点検」「広域監視」など顧客へレポートを提出するメニュー部分を「おまかせメニュー」へ名称変更する。

各メニューの提供形態の違い
お客さま運用メニュー 標準構成

2. 想定ユースケース

・高速道路や鉄道の災害発生時の被害状況確認において、従来の作業員による目視点検では、作業負荷や2次災害のリスクなどが課題となっていたが、遠隔自律飛行・リアルタイムな映像伝送が可能となるため、低コスト化・2次災害リスクの低減を実現できる。

・労働人口の減少が課題となっている警備分野において、ドローンに搭載するカメラからの映像を運航管理室などから遠隔監視することにより、工場などの広域設備の巡回監視などを実現でき、警備の効率化に貢献する。

3. 提供料金

初期費用ドローン本体 4,000,000円/台~
導入初期費 150,000円/式~
月額費用運航管理システムパッケージ 168,000円/台

※表記の金額はすべて税抜。
※表記は標準構成の料金。オプションは含まれていない。
※現地調査費用などは別途見積もり。

4. 提供開始予定時期

2020年11月上旬