2020年6月9日、エアロセンスは、クラウド型の測量システム「エアロボクラウド」に、これまで対応していた米国GPSに加えて、日本のみちびき(準天頂衛星システム:QZSS)、ロシアのグロナス(全球測位衛星システム:GLONASS)も併用した衛星測位計算の機能を追加したことを発表した。測位計算に使える衛星数が増えたことで、より多くの現場で「エアロボマーカー」(GNSS※1 測量機)を活用できるようになった。

※1 Global Navigation Satellite System。全球測位衛星システム。

使える衛星数が増える効用イメージ

マルチGNSSに対応したエアロボクラウド

 エアロセンスは、衛星受信機内蔵の対空標識「エアロボマーカー」を用いたドローン測量のソリューション「エアロボ測量」を提供している。ドローン測量では、対空標識を設置し、その位置を精密に測量する必要がある。これまではその測量にトータルステーションなどが用いられてきたが、対応機器の価格や、機器技術に精通したエンジニアの必要性、現場作業工数が比較的大きいことなどの課題があった。エアロボマーカーは衛星受信機を内蔵し現場に置くだけで高精度位置測量ができるため、現場での測量の手間が省け、さらに、そのデータログと空撮写真を一度に空撮画像処理クラウドで自動計算することで、後処理の作業効率も大幅に向上させてきた。
 エアロボマーカーはこれまで見晴らしの良い場所に設置する必要があった。これはエアロボクラウドがGPS衛星だけを使った測位計算をしており、利用できる衛星の数が限られていたからである。また、仰角の低い衛星の信号は、設置地点の近くにある建造物や木々などによる電波の反射の影響を受けるため、そのような場所では測位精度が劣化するという課題があった。

エアロボクラウド上でのマルチGNSS有効機能(赤枠部分)
衛星数を示す帳票例(G=GPS、J=みちびき、R=グロナス)、基線解析に使える衛星がGのみの約10個から倍増

 みちびきは日本の上空に常に位置するため高仰角で、GPSと互換性のある信号を送信しているため、みちびきを活用することで安定した測位が可能になる。また、ロシアの測位衛星であるグロナスにより、測位計算に使える衛星の数を大幅に増やすことができる。エアロボマーカーは元々GPSとみちびきとグロナスの衛星信号を受信しているため、エアロボクラウド側にてみちびきとグロナスも併用して測位計算できるようにしたことで、GPSのみでは測位が難しかった環境でもエアロボマーカーを使用することが可能になった(※2)。

▼エアロボクラウド
https://aerobocloud.com/

※2 電子基準点ベースの測位計算のみをサポートしている。その他の現場基準点ベースでの測位計算のマルチ衛星対応は、今後順次リリースしていく予定である。