2020年2月13日、SkyDriveは『カーゴドローン』の建設現場における重量物運搬への活用に向けて、大林組と共同実施で実証実験を開始したことを発表した。

 SkyDriveは、「空飛ぶクルマ」(※1)の開発を進める中、航空機開発のプロセスで培った技術を活用して重量物運搬に特化した産業用ドローン『カーゴドローン』の開発も開始した。

 また、建設現場で、少子高齢化に伴う建設作業員の高齢化および減少を見据えた対応が課題となっている中、大林組は作業員が技能や習熟を必要とする作業に集中し、単純な力作業を軽減できるように、建築現場ではAGV(※2)等を活用した資材搬送作業の自動化を進めていた。しかし、土木現場は山間部や急傾斜地に立地することもあり、陸送による資材搬送作業の自動化が困難な状況にあった。

 今回、大林組の課題を解決するために、協力して土木現場における実証実験を開始した。高い安全性を有する『カーゴドローン』を活用することにより、建設作業員の危険回避、作業負担の軽減となり、労働力不足の解消や労働生産性の向上へ貢献していくという。

実証実験 概要

日時  :2019年12月25日(水)
場所  :知の拠点あいち(愛知県豊田市八草町)
実験内容:土木現場を想定した、様々な建設資材の自動搬送

実験に使用した「カーゴドローン」の基本仕様

全長     :1.3m×全幅1.7m×全高1.0m
推奨ペイロード:30kg
飛行速度   :40km/h
飛行可能距離 :3km(最大積載時)
飛行時間   :15分
運搬方法   :機体固定式ボックス・着陸せず荷物を昇降するウインチ機構

今回使用した重量物運搬ドローン/飛行時の様子
実証実験の様子

実証実験に対するコメント

大林組 生産技術本部 先端技術企画部 元村氏 (プレスリリースより引用)

-実験をしてみて良かったことは?

 思ったよりも安定してモノを運んでいるのをみることができて、活用の場面をイメージすることができました。

-今抱えている課題は?

 労働力不足の中で、生産性を上げていくのが建設業界の課題です。

-今後カーゴドローンに期待することは?

 新しい技術を使うことで、生産性を向上していくというのが業界のスローガンになっている。カーゴドローンが、生産性の向上に対するこれまでの発想をガラリを変え、建設現場の形を変えていくものになっていくことを期待します。

SkyDrive代表取締役 福澤知浩氏 (プレスリリースより引用)

 今回は5つの品物を運ぶ実証実験を行いました。

 実際に現場で使用している品物を運ぶ、という実践に近い検証の中で、安定飛行ができたことで、今後土木・建設業界のイノーベーションに繋げて行きたいと考えております。

 荷物の着脱が簡単になること、様々な環境に耐えられる機体など、今後はより一層ユーザビリティに注力した開発を進めていき、より幅広いシーンで活用して頂けるカーゴドローンを創り上げていきたいと思います。

―――

 今後、両社は実際の建設現場において実証実験を重ね、建設現場に適した機体の開発及び効果的な活用方法を検討していく。

 SkyDriveは、大林組の建設現場の自動化、建設作業員の危険回避、作業負担の軽減により、労働環境の改善、働き方改革に貢献できるよう努めていく、としている。

SkyDrive Cargo Drone ユースケース紹介

大林組 建設現場における資機材運搬

※1 空飛ぶクルマ

 空飛ぶクルマとは、正式名称を「電動垂直離着陸型無操縦者航空機」と呼ばれ、電動化、完全自律の自動操縦、垂直離着陸が大きな特徴である。モビリティ分野の新たな動きとして、世界各国で空飛ぶクルマの開発が進んでおり、日本においても都市部でのタクシーサービス、離島や山間部の新たな移動手段、災害時の救急搬送などにつながるものとして期待されている。既存の航空機に比べて低コスト・低騒音、かつ離発着場所もコンパクトになるため、空の移動がより日常的になると考えられる。2040年にはグローバルで150兆円の市場規模に達すると予測されており(Morgan Stanley調査)まさに、次世代産業の1つである。日本においても、2018年から「空の移動革命に向けた官民協議会」が開催され、2023年の事業開始、2030年の本格普及に向けたロードマップ(経済産業省・国土交通省)が制定されている。先進国においては渋滞緩和、災害時利用、新興国においては、インフラ不要の移動手段としての活用が見込まれている。

※2 AGV

 Automated guided vehicleの略で、無人搬送車のこと。人間の運転操作がなくても自動で走行できる運搬車。