GNSSの電波が入らない屋内の、とりわけ狭くて暗い環境で、さまざまな設備の点検を行うドローン「IBIS2」を開発し、機体の販売、レンタル、サービスを提供するリベラウェアは、IBIS2の狭所閉鎖空間を飛行できる性能を生かして、災害時の倒壊家屋にドローンを進入させ、要救助者を捜索するという形での活用方法を紹介していた。
人が立ち入れない3Kの場所をドローンで点検
今回のリベラウェアのブースは、ドローンの飛行ケージが設置してあり、会期中、ほぼ絶え間なく同社の超狭小空間点検用ドローン「IBIS2」が飛行していた。IBIS2は約20cmスクエア、機体重量243gの小型クワッドコプターだ。リベラウェアがフライトコントローラーからほとんどのコンポーネンツを独自に開発したこのドローンは、障害物に接触しても自律安定性を崩しにくい制御により、大規模建造物の天井裏や地下ピットの点検サービスに用いられてきた。
その後この“狭くて、暗くて、危険”な屋内空間を飛行できる特徴を生かし、さまざまなインフラや設備内部の点検で活用されている。現在ではエレベーターシャフトや煙突、蒸留塔、ボイラー、ダクト、タンクといった設備の内部をはじめ、下水道の水槽や管渠、船舶のバラストタンクなど、これまで人が進入することができないため、点検が難しかった、もしくは点検できなかったエリアの様子を撮影し、データ化するという実績を上げている。
能登半島地震の実績から防災用途へ利用拡大
こうしたIBIS2の特徴が、新たに注目を集めたのが、今年1月に発生した能登半島地震だ。リベラウェアは輪島市の要請に応える形で、日本UAS産業振興協議会(JUIDA)と共に、1月6日から輪島市の倒壊家屋や倒壊リスクのある大型商業施設内部の現状調査を行った。まだ余震がある中で、要救助者を捜索するために倒壊家屋に進入することは二次災害の危険性がある。そうした空間にIBIS2を進入させ、内部の様子を撮影した映像は、「ドローンが倒壊家屋内の要救助者の捜索に使える可能性を、防災関係機関の関係者が見出すことができるきっかけとなった」(説明員)という。
そのため、危機管理産業展という展示会でリベラウェアの出展は、改めて「消防や警察、自衛隊、自治体といった防災関係機関の関心が高い」(説明員)という。同社によると能登半島地震における対応以降、防災訓練に呼ばれることが増えているといい、直近の例としては、今年9月には令和6年度大規模地震時医療活動訓練に参加。また、7月には新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が実施する「SBIR推進プログラム(連結型)」の「倒壊建屋内における生存者を確認するための小型ドローン周辺機器研究開発」事業に採択されている。
「防災関係機関の中でのIBIS2の存在感は確実に高くなっている。それだけに、防災用途においてIBIS2を活用することで結果を出せるように、今後、防災機関との連携を図るとともに、IBIS2の機能も高めるという、両輪を走らせていきたい」(説明員)としている。