10月に東京ビッグサイトで開かれた空飛ぶクルマの専門展示会「フライングカーテクノロジー」にスカイリンクテクノロジーズが、チルトウイング形式の空飛ぶクルマの試験機や完成時の模型などを展示した。

独自のチルトウイング技術を搭載した空飛ぶクルマ「ストーク」

写真:スカイリンクテクノロジーズの展示
フライングカーテクノロジーでのスカイリンクテクノロジーズの展示コーナー

 スカイリンクテクノロジーズは神戸市に本社を置くベンチャー企業だ。一般的な電動の空飛ぶクルマの航続距離が最長でも100km程度。一方で滑走路が必要な固定翼の航空機は1000km以上の距離を飛ぶことに同社は注目し、100kmから1000kmの間を「未開拓ゾーン」と位置づけ、そこを新しい市場とした機体を2019年より開発している。

 同社が力を入れているのがチルトウイングの技術であり、これは米軍や自衛隊で運用されている「オスプレイ」のようにエンジン部分だけを可動させて垂直に離着陸するのではなく、プロペラを装着した翼の向きを変えることで同様に垂直離着陸できるようにする技術だ。

 滑走路を必要とせずに離着陸できる一方で、チルトウイングは構造が複雑で姿勢制御プログラムも必要とする。同社ではチルトウイングの技術を開発して、エンジン式の産業用ヘリなどを開発するドローンメーカーなどに技術を供与し、チルトウイング型の空飛ぶクルマの開発時間とコストを圧縮したい考えだ。産業用ヘリなどにチルトウイングを搭載することで、最大巡航速度を高めることができ、結果として飛行距離を伸ばすことに繋がるという。

写真:空飛ぶクルマの模型
チルトウイング型「空飛ぶクルマ」の模型
写真:6分の1サイズの実験機
完成機体の6分の1の実験機

 展示会では「ストーク」と名付けられた6人程度が搭乗でき、ジェットエンジンによって巡航速度650km、航続距離1400kmを目標とするチルトウイング型の空飛ぶクルマの模型も展示された。また、完成機体の6分の1の実験機も披露されていた。

 スカイリンクテクノロジーズの森本CEOは「2030年代後半に実機の完成を予定しています。飛行距離で他社と差別化しながら移動に関わるさまざまな社会的課題の解決を目指しています」と話していた。

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