ドローン・ロボットの開発事業を行っているFAVIONは、Japan Drone 2023でX型固定翼電動無人機「X-wing」の試作モデルを展示した。

 今回展示されたX-wingは、福島イノベーション・コースト構想推進機構(福島市)の創業支援事業「フクシマ・テック・クリエイト」プログラムの補助を受け、FAVIONと装置開発などを手掛けるインダストリーネットワークが共同で開発した多用途で活用できる固定翼電動ドローンである。

X型固定翼電動無人機「X-wing」の詳細

 X-wingはXという文字を機体で表したような形状をしており、4枚の固定翼と合計8個のモーターを搭載している。機体サイズは2種類用意されており、大きい方は翼幅2,000mm(2m)、ペイロード8kgとやや大きめに感じるサイズ感だ。今回会場に試作品モデルとして展示されていた小さめの機種は翼幅1,000mm(1m)でペイロード2kgとなっているため、X-wingは飛行目的や飛行予定場所の規模感に合わせて使用しやすい機種であることが分かる。

 固定翼ドローンは長距離・長時間の飛行を実現しやすく、積載可能重量もより大きく確保できるのが特徴だ。X-wingもこれらの特徴に該当し、どちらのサイズであっても搭載する電動バッテリーで最大飛行距離約100km、最大飛行時間は約2時間という高い飛行性能を備えている。

 X-wingの注目すべきポイントはVTOLとしての垂直離着陸・DTOLとしての斜め離着陸・STOLとしての短距離離着陸とさまざまな環境・状況下でも安定して離着陸を行いやすい点だ。

 固定翼ドローンの多くはVTOLドローンのため、通常の離着陸と垂直離着陸以外を行える型式はそう多くない。しかしX-wingはVTOLだけではなく、滑走して短距離で離着陸を行うSTOLや斜めに離着陸可能なDTOLとしての要素も併せ持つ、汎用性が高い固定翼ドローンだ。X-wingについてインダストリーネットワーク代表 大橋俊夫氏は「X-wingは多種多様な環境下でも飛ばせる、余裕のある飛び方を実現できる軽量な機体だ。そのため、一般的な用途だけではなく物資輸送や災害救助といった用途にも応用可能です」とコメントしている。

 X-wingは既に福島ロボットテストフィールドで小型機の水平飛行とホバリング(空中静止飛行)の実証実験に成功しており、2023年中には大型機の完成とX-wingの商品化を目指していく方針だ。

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