2022年12月6日〜7日、福岡国際会議場で開催された「Japan Drone / 次世代エアモビリティEXPO in 九州2022」に出展したコイシは、プロドローン社製「PD6B-Type3C」とRIEGL社製「VUX-1 UAV22」などを活用したレーザー測量技術を展示した。

 コイシは本社を大分県大分市に置く、主に工事測量やUAVによる3次元測量などの計測業務を手がける企業だ。昭和62年創業という土木工事業の老舗で、約10年前から写真測量を開始し、UAVレーザー計測についても約5年前、早々に導入したという。

 昨年あたりから、主に公共測量の現場において、中国製以外の機体やフライトコントローラーを求められるケースが生じて、せっかくドローン活用によって業務効率化を図れたところが“逆戻り”しかねない状況に直面したため、同社では、いち早くプロドローン社製の国産ドローンを導入。レーザーは当初より使ってきたRIEGL社の製品を継続使用し、機体の飛行とデータ取得から、処理ソフトを使ったデータの加工・解析まで、一気通貫で手がけている。

 展示では、山の地形の測量や、観光資源である城山の調査などで、ドローンを活用した事例を紹介した。

 例えば、100ヘクタールほどの山の地形の測量では、従来の方法だとデータの取得だけで約1ヶ月かかるのに対して、ドローンを活用すれば2日程度で現地の作業を完了でき、大幅な時間の短縮につながるという。その後、顧客のニーズに合わせて、データの解析を行うというが、バリエーションは豊富だ。

 取得データから樹木を除去する点群処理を行い、道路や地形の状態を表した地上起伏モデル、等高線を表示したモデル、山の斜面の傾斜がきついところとなだらかなところを色で塗り分けた傾斜角陰影図など、いろいろな出力パターンを選べるという。また現場では、もともとは2次元だった設計図面を3次元モデル化して、それに対して測量結果を重ね合わせて、計画とのズレを表現するヒートマップを作成することも多いという。さらに、3Dプリンタ出力することも可能だそうで、3Dプリンティングされた人形なども飾られていた。

 当日の反響について聞くと、「我々は土木分野なので、建設以外の方からは素通りされるかなと思っていたが、分野を問わずさまざまな企業さんから声かけしていただいて、想像以上の反響をいただいてる」とのこと。

 実際の業務においても、例えば観光資源の管理を目的として城山を調査したときには、これまでの資料や伝承では見つかっていなかったものが、上空からの3次元データを見て初めて発見できた実績もあり、同社の技術は測量以外の分野からもニーズがあるという。また、森林の管理者が物資を運ぶ際に、山のどこが崩落しているかといった現況把握にも役立つのでは、と考えているという。

 ちなみに、国産ドローンの使い心地を聞くと、「フライト自体は安定しており、いまのところ無事故」とのことだ。また、何か不具合が生じたときに、ログを自分たちで見たり、メーカーに問い合わせて日本語でやり取りをできるため、原因究明をきちんとできるというメリットは大きいようだ。逆に、不足部分については、コース設定の自由度などが挙げられた。

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