2022年12月6日〜7日、福岡国際会議場において、Japan Drone / 次世代エアモビリティEXPO in 九州(福岡)2022が開催された。本展示会の九州開催は今回が初めて。九州エリアの実績豊富な事業者をはじめ、毎年東京で開催している幕張メッセでおなじみの顔ぶれも集結し、連日多くの来場者で賑わっていた。本稿は、イベントレポート第1弾として、九州電力ドローンサービス、計測検査、Kiipl&napの合同展示を紹介する。

 九州電力がドローン事業を始めたのは、2016年の熊本地震に遡る。阿蘇大橋が崩落したというニュースが全国を震撼させたが、九州電力も多くの電力設備に被害を受け、このときドローンを使って現場確認を行ったのだ。「巡視点検や災害時の状況確認にドローンは有用だ」と社内でも認知が広がり、現在は「九州電力ドローンサービス」として社外向けの事業も展開している。

 主な拠点は、北九州、福岡、佐賀、長崎、大分、熊本、宮崎、鹿児島の8支店で、全社で総勢55名の各支店のパイロットが、保有機体を活用してサービスを提供している。具体的には、「動画・静止画空撮サービス」「12K画像空撮サービス」「サーモグラフィ空撮サービス」「映像編集サービス」「3D・オルソ画像作成サービス」「測量サービス」「360度パノラマVRサービス」「農薬散布サービス」「森林資源の見える化サービス」の9種類だ。

 当日は、発電所のボイラー点検で使用中のELIOS2、橋梁点検で使用中のSkydio2が展示されていた。また、VTRでは各種ドローンを用いて何ができるのか、分かりやすく訴求していた。

点検に使用されるSkydio2(左)、ELIOS2(右)

 九州電力は、グループ企業の九電産業が開発した木の種類や幹の太さをAIで計測するソフトウェアを活用したり、グループ企業が自社設備の点検を担うなど、グループ全体のアセットをうまく活用しているが、コンクリート構造物の非破壊検査において頼りになるのが、共同出展した計測検査だという。両社は2021年より協業を開始し、九州電力の撮影と計測検査の診断・解析の技術を組み合わせて、サービスを提供している。

 計測検査は、道路、橋梁、トンネルなど各種インフラ構造物や、ビルやプラントなどの機械設備や構造物の安全性を診断する事業者で、1974年に北九州で設立された。特に、トンネルの点検においては、1回の計測で画像データと3次元レーザーデータを取得できる「走行型トンネル点検車両MIMM」や、両データを記録、解析できるソフトウェアも開発して全国で提供しており、九州電力が撮影したデータの診断と解析から報告書作成までの重要な役割を担っているという。

車両が入れない場所でも人間が背負ってデータを取得できる「MIMM-S」

 また、Kiipl&napとは、今回の展示を機に新たに協業を開始する。Kiipl&napは、長崎放送が株主で、2021年に長崎支店を開設しており、ドローンオペレーティングチーム「NAP DRONE TEAM」は全国13拠点にメンバーを配置し点検・測量サービスを提供している。当日は、バリエーション豊かな展示でひときわ人目を引いていた。

重量搬送ドローン
マイクロドローン
煙突や立坑の点検に用いる「IIC360°」
米国Boston Dynamics社が開発した「Spot」に測量機器を搭載。

 3社の協業はまさにこれからだが、九州電力とKiipl&napはそれぞれの保有機体や、得意とする地域や領域を補完し合い、また計測検査の顧客リレーションおよびコンクリート構造物の診断・検査技術を組み合わせて、ドローンサービスの全国展開を狙うという。

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