ドローンにおける「係留」とは、一定の場所を軸にドローンの飛行範囲を制限して安全に飛行する方法を意味する。

 ドローンが物理的に紐(ひも)等で軸となる物に固定されたうえで飛行することを係留飛行と言う。30m以内の紐等が届く空間内で飛行を制限する場合、許可承認を不要とする規制も整備されている。

係留する際の注意事項

 ドローンと物体を固定する紐は国土交通省により「十分な強度を有する紐等」と定義されている。紐の材質や太さ、耐久性に注意を払い、定期的な点検を行うのが理想的だ。紐等の例としては、強度の高い釣り糸やワイヤーなどが使用されている。

 係留の際は、動かない物体を固定地点として設定する必要がある。

 移動しない固定対象としては、例えばガードレールや電柱、柱のようなものが候補に挙がる。自動車や航空機などの移動する物に紐を固定する行為や、人が紐を持って移動しながら無人航空機を飛行させる行為は係留には該当しない。

 なお、使用する紐は中だるみせずピンと張られた状態を維持することが望ましい。そのため、ドローンの動きに合わせて負荷をかけないように紐を自動で巻き取る装置などが製品化されている。

 ドローンを係留して飛行する際は、以下の条件を満たす場合は飛行許可申請が不要となる(DID上空、夜間、目視外、第三者から30m以内の飛行、物件投下の場合)。

十分な強度を有する紐等(30m以内)での係留

 ドローンを係留する際には、30m以内の長さの紐を使用する必要がある。この紐は十分な強度を持ち、ドローンの飛行に耐えうるものでなければならない。

係留されたドローンと係留点、第三者
(出所:資料をもとにせりぽよが作成)

関係者以外の立ち入りを制限する表示、補助者による監視および口頭警告等

 安全性を確保し、飛行範囲内に第三者が立ち入らないようにするため、看板やコーンを設置して立入禁止区域を明確に示す必要がある。

 立入管理措置により安全な飛行環境を確保する場合は、ドローンについて詳しくないものでもわかるよう、視認性が高く誤解を招かない表記であることが重要だ。

 補助者は必須ではないが、補助者を立てない場合は、その分看板やコーン等での立入禁止区域の明示をより綿密に行うこと。

 補助者がいる場合は、飛行中は補助者が常に監視し、必要に応じて口頭での警告を行い、周囲の安全を確保する。

 補助者はドローンの動きを注意深く観察し、問題が発生した際には迅速な対応が求められる。