300品目の商品をドローンが届けてくれるオンデマンド配送

 こうしたドローン配送システムとサービスの開発を約半年間に渡って継続的に取り組んできたエアロネクストとNEXT DELIVERYは、2021年11月1日から「SkyHub Store」という形で、ドローン配送サービスを正式にスタートさせた。継続的にドローン配送サービスを行っているのは長野県伊那市と香川県三豊市など全国で数少ない事例のひとつだといえる。

 配送拠点は小菅村の中心集落の一つである橋立地区の旧商店で、ここに商品の受発注や管理を行うスタッフが常駐。約300品目の食料品や日用品を在庫しており、小菅村の生活に根ざした地元の食品をはじめ、利用者のニーズに応えた商品を揃えている。また、11月から始まったサービスでは、会員登録した利用者がWebブラウザで専用サイトを開き、商品を注文する形を取っている。

小菅村の中心集落のひとつ、橋立地区にある「ドローンデポ」。
ドローンデポでは「SkyHub Store」扱いの商品約300品目を在庫している(この日は年末の在庫整理のため商品は少ない)。
商品は常温管理の食料品や日用品のほか、冷蔵・冷凍品も扱っている。
NEXT DELIVERYのスタッフが商品の受注や箱詰めなどを行っている。
ドローンデポの向かいにあるNEXT DELIVERY本社。倉庫兼住宅を利用したこの拠点では機体の開発や運航のための整備などが行われている。

 ドローンの運航は原則としてあらかじめ設定したルートを自動で飛行する。携帯電話ネットワークを経由してPC上のGCS(Ground Control Station)ソフトからルートを機体に転送することと、離陸の指示を行うこと以外は、機体の状態と機首のカメラが撮影した映像を監視するのみ。ただし、今は離着陸場所に補助者を配置しており、緊急時は補助者が手動で操作して着陸させることとなっている。

離陸準備ができるとNEXT DELIVERYのスタッフがドローンに商品を搭載する。
小菅村橋立地区にある配送拠点を離陸するドローン。離発着時に補助者は常駐しているが、緊急時以外は安全管理業務のみを行う。
ドローンが道路を横切る地点には毎日立て看板とカメラを設置して飛行させている。

 NEXT DELIVERYが使用するドローンは、エアロネクストとACSLが共同で開発した物流用ドローン「PF-NEXT」。2021年6月にエアロネクストが神奈川県横須賀市で医療従事者のために吉野家の牛丼弁当を運ぶという実証実験でデビューしたドローンで、エアロネクストの機体構造設計技術「4D GRAVITY」を採用することにより、荷物の傾きを抑えた輸送品質と、飛行効率の高さを実現している。

エアロネクストとACSLが共同開発した物流用ドローン「PF-NEXT」。商品が入った箱を胴体中央部に独自のジンバルを介して搭載することで、高効率かつ高速での飛行を可能にしている。