2021年1月22日、セイノーホールディングス(以下、セイノーHD)と、エアロネクストは、新スマート物流の事業化に関する業務提携契約を締結したことを発表した。

セイノーHD代表取締役社長 田口義隆氏(左)と、エアロネクスト代表取締役CEO 田路圭輔氏(右)

 セイノーHDは、社会インフラとしての環境・産業・生活への貢献、効率化、質の向上につながるオープン・パブリック・プラットフォーム(以下O.P.P.)の構築を重要視し、物流のDX(デジタル・トランスフォーメーション)化による生産・在庫・配送の最適化、自動化、無人化によりスマートサプライチェーンを実現させることをグループの全体戦略として、ラストワンマイル領域においても物流弱者対策、貧困家庭対策等の社会課題解決型ソリューションの構築を積極的に推進している。

 一方、エアロネクストは、ドローンが人々の生活になくてはならない、また社会課題を解決する上で不可欠なデバイスになるものと認識し、機体の信頼性を高め、社会実装に必要不可欠な安心・安全を確保できる独自のテクノロジーを活用した空の社会インフラ構築を目指しており、機体だけでなくドローン配送サービスを主事業とする戦略子会社「株式会社 NEXT DELIVERY」を今年1月に設立したばかりである。

 両社は、相互の理念と考えを共有し、セイノーHDの幹線ならびにラストワンマイルの物流における日本を代表する実績とネットワーク、さらには物流DXによる物流サービスのユニバーサル化と最適化における豊富な知見とプロジェクト推進力、エアロネクストの独自技術と知的財産を土台にした機体を含む包括的なドローン配送サービス構築の開発力と実践力を組み合わせ、業務提携契約を締結し、相互に協力して既存物流とドローン物流を連結・融合させた新スマート物流サービスを確立していく、としている。

 スマートサプライチェーンSkyHub(*1)の共同開発はその取り組みの一環で、まずは昨年11月にエアロネクストがドローン配送サービス導入による地域活性化と新スマート物流の社会実装に向けて連携協定を締結した山梨県小菅村で本サービスモデルの実証と実装に向けプロジェクトを開始した。今後、速やかにサービスエリアを拡大して全国に展開することを目指す。

スマートサプライチェーン“SkyHub”実現イメージ

*1 スマートサプライチェーン“SkyHub”
 新スマート物流を実現するための新しいサプライチェーンの仕組みで、無在庫化と無人化を特徴とする。最適な輸送モード、輸送ルート、配送プレイヤーの選択や多彩な受取方法のバリエーションがシームレスに繋がり、異なる物流会社で輸送される荷物をドローン等で共同配送するためのシステムおよびそのサービスモデル。

業務提携の目的

 既存物流とドローン物流の接続を標準化することでO.P.P.型の新スマート物流におけるサービスモデルを共同で構築し、人口減少、特定過疎地の交通問題、医療問題、災害対策、物流弱者対策等、地域における社会課題の解決に貢献していくとともに、コミュニティの質の向上を促す様々なソリューションの提供により、地域全体の活性化を目指していく。

 このサービスモデルは、新型コロナの感染拡大によって人々の生活様式が変化し、ヒトの移動が制限されたことでのモノのスピーディな移動への需要増加、非対面・非接触へのニーズやEC化の急激な進行を背景に、地方に限らず都心部においても有効だと考えているという。

 両社は、本サービスモデルを「空の産業革命に向けたロードマップ2020」に示される2022年度の「空の産業革命レベル4(*2)」解禁に向け、離島、中山間部や都市郊外だけでなく、都市部も含む全国各地への展開を目指していく、としている。

*2 空の産業革命レベル4
 2020年7月に発表された小型無人機に係る環境整備に向けた官民協議会による「空の産業革命に向けたロードマップ2020」で明記されている、2022年度を目標とした「有人地帯での補助者なし目視外飛行」の実現フェーズのこと。

今後の取り組み

 連携の骨子に基づき両社でプロジェクトチームを組成し、相互に協力して以下を推進していく。

(1)新スマート物流システム(“SkyHub”含む)の開発
(2)山梨県小菅村での新スマート物流システムの運用の実績作り
(3)山梨県小菅村での実績をモデルケースとした、新スマート物流サービスの全国展開