11月8日、セイノーホールディングス(以下セイノーHD)とエアロネクストは、山梨県小菅村において、オンデマンド配送サービス専門コンビニ「SkyHub Store」と、地域の商店と連携した買物代行・配送代行サービス「SkyHub Delivery」の両サービスを11月1日より本格的に開始したことを発表した。

 山梨県小菅村では、エアロネクストとセイノーHDが共同で開発しているドローン配送を含む新スマート物流「SkyHub」の社会実装を進めている。SkyHubは、既存物流とドローン物流を接続することでいつでもどこでもモノが届くという仕組みで、地上と空の接続点に設置されるドローン配送用の倉庫「ドローンデポ」を拠点に、SkyHubアプリをベースにした配達代行、オンデマンド配送、医薬品配送、異なる物流会社の荷物を一括して配送する共同配送などのサービスを提供する。

向かって左より、セイノーHD執行役員 河合秀治氏、小菅村長 舩木直美氏、エアロネクスト代表取締役CEO 田路圭輔氏(10月30日撮影)

 エアロネクストとセイノーHDは本年1月に無在庫、無人化を実現する新スマート物流の事業化に向けて業務提携を締結。既存物流とドローン物流の接続を標準化することで、オープン・パブリック・プラットフォーム(O.P.P.)型の新スマート物流におけるサービスモデルを共同で構築する方針を掲げている。これにより、人口減少、特定過疎地の交通問題、医療問題、災害対策、物流弱者対策等、地域における社会課題の解決に貢献するとともに、コミュニティの質の向上を促すさまざまなソリューションを提供することで、地域全体の活性化を目指すという。

 具体的には、2020年11月、エアロネクストと山梨県小菅村が、ドローン配送サービス導入による地域活性化と新スマート物流の社会実装に向けて連携協定を締結し、プロジェクトを開始。2021年4月にはドローン配送と買物代行サービスの試験運用を始め、住民と話し合いながらサービスモデルの確立に向けて実証と検証を重ねてきた。

 当初は、橋立地区のドローンデポから約600m離れた川池地区のドローンスタンド(ドローン物流の起点・終点に設置される離発着設備、場所)への1ルート、1日2便、週3日で開始。現在は、村内8地区のうち4地区5ルートのドローン定期配送ルートを開設しており、そのうち1つは旅館屋上へのルートとなっている。

 10月30日までに、ドローン配送は190回、買物代行サービスは375回に達し、約半年間の検証期間を経て11月1日よりサービスの有償化と定期化を開始することとなった。

小菅村で配送を行うドローン

オンデマンド配送サービス専門コンビニ「SkyHub Store」

 SkyHubアプリを使って食料品や日用品を購入できるオンデマンド配送サービス。顧客の購買実績に基づく購買予測を活用することで、ドローン配送拠点のドローンデポに食料品や日用品、調味料、薬などの品揃えを充実させて、ニーズに合わせた最適な手段で配送する。ドローンデポのダークストア(EC販売専用の店舗)化の取り組みでもある。

 食料品と日用品の300アイテムから商品を選び、30分間隔に設定された16スロットの配送枠から配送希望時間と配送先のドローンスタンドを選択して注文する。最短30分前まで注文が可能。配送料は300円。ドローン便で届けるのが基本だが、天候などで飛行が難しい場合は車による陸上配送となる。

地域の商店と連携した買物代行・配送代行サービス「SkyHub Delivery」

 SkyHubアプリで注文した地域の商店・スーパーなどの商品や飲食店の出前が、希望日時に個宅に届くモールEC型のネットスーパー&フードデリバリーサービス。地域商店のDX化支援の取り組みでもある。

 近隣地域にある地元スーパーの約1,000アイテムの食料品・日用品から商品を選び、2時間間隔に設定された時間枠から希望する時間を選択して注文を行う。配送料は300円。当面は正午までの注文を当日中に配送するとしている。

 なお小菅村においては、SkyHubの社会実装の一環として、バス会社、物流会社各社の協力を得て、貨客混載や共同配送を試験的に開始するなど、さまざまな取り組みを実施している。

 また、SkyHubの全国展開の第一歩として、本年8月に包括連携協定を締結した北海道上士幌町においてドローン宅配も含む複数の実証実験を実施した(2021年10月)。上士幌町は人口約5,000人、域内には店舗や牧場も多く、広々とした個宅は離発着にも最適である。人口約700人、域内に小さな商店が1店舗しかない小菅村とは異なる特徴を持つエリアで、11月には上士幌町においても具体的な活動を開始する予定だ。