KDDI株式会社(本社:東京都)は、2019年6月27日に都内で「KDDI 5G SUMMIT 2019」を開催した。基調講演に登壇した髙橋誠代表取締役社長は、韓国の通信事業者のLG Uplus(本社:ソウル)との業務提携など、5G通信時代における産業やドローン戦略について講演した。

5G時代の共創と変革のビジョンを掲げるKDDI

 KDDIは、5G周波数の割り当てで3.7GHz帯では100MHzを2枠と、28GHz帯では400MHzを1枠得ている。合計で600MHzという周波数帯を獲得できた背景には、全国で4万局を超える5G基地局を構築するという積極的なインフラ投資や、5G通信を見据えたサービスやビジネスモデルの展開計画が、総務省から高く評価された結果だと、髙橋社長は説明する。

 KDDIの5G展開は、2020年3期から「プレ5G」という事前サービスを開始し、2021年から4G+5GのNSA(Non-Standalone)へと移行し、2022年の3期を目標に完全な5GのSA(Standalone)接続を計画している。そして、一般ユーザーに向けては、定額接続による使い放題の料金プランやゲームにVRなどのサービスを提供し、産業分野ではあらゆるモノに通信が溶け込んでいく5Gビジネスモデルによる革新を目指す。

 髙橋社長は「通信とセンシングの進化によって、お客様との関係性が再構築される時代が訪れる」と予見する。その「関係性」の再構築において、5G通信による定額・同一サービスにより、顧客から得られる「状態・行動・感情」などのデータを循環させる「リカーリング」型ビジネスが鍵を握る。

 KDDIの描く日本市場でのリカーリングモデルでは、事業の信頼性(トラステッド)と革新性(イノベーティブ)の組み合わせが重要になる。KDDIでは、日本企業のイノベーションを促進するために、KDDI DIGITAL GATEという顧客とのコラボレーションやビジネス創出の「場」を設けている。

 また、KDDIでも「スマートドローン」というドローン産業のプラットフォームやサービスを提供している。KDDIの「スマートドローン」は、IoT端末としてのドローンを活用するサービス事業であり、5Gを見据えたイノベーションを目指している。そして、「スマートドローン」事業を加速するために、 KDDIは韓国の通信事業者のLG Uplusとの提携を発表した。

発表された主な協業の内容は、以下の4項目となる。

(1)インターフェース共通化によるアプリケーションの相互利用
(2)有人航空管制とのインターフェースの共有化
(3)安全飛行のためのドローン周辺機器の共同開発検討
(4)4G/5G通信連携のためのモジュール・ボード共用化検討

 両社は、今回の提携を通じて、相互のアセットを活用し、スマートドローンプラットフォーム開発を加速させ、国内外ドローン市場のつながりを拡大するとともに、国際標準となるドローンのプラットフォーム構築を目指す。

基調講演の壇上で韓国のLG UplusのJoosik Choi Executive Vice President(左)と握手を交わすKDDI株式会社の髙橋誠代表取締役社長(右)

KDDIのスマートドローン事業を支えるプロドローンも出展

 「KDDI 5G SUMMIT 2019」では、KDDIも出資し機体の開発や製造を行っているプロドローンも、スマートドローン事業を紹介する展示コーナーや講演に参加した。

 「5G × ドローン」の展示コーナーでは、プロドローンの機体とパネルや動画が紹介されていた。5Gを活用して、東京大学と福山市と広島県が協力し、ドローンの空撮映像をリアルタイムで配信する実験の様子がパネルで説明されていた。高精細な4K映像をドローンからリアルタイムで配信できるようになれば、上空からの広域監視による不審者などの早期発見が可能になる。また、イベント会場でドローンの4K映像を大型スクリーンに投影すれば、イベントが盛り上がると提案している。

展示会場に置かれたプロドローンの機体と「5G × ドローン」を紹介したパネルと動画

5Gで変わるドローンの世界

 セミナー会場では、プロドローンが「5Gで変わるドローンの世界」を講演した。5Gでは、高速・大容量・高効率の通信が可能になり、既存のLTE(4G)と比較して3倍以上の効率が期待できる。また、多数の機器が同時に接続でき、高い信頼性と超低遅延を実現する。

 こうした技術的な進化により、「eスポーツ + ドローン」や「顔認証エンジン + ドローン」に「ローカル5G」を活用したドローンのサービスが期待できるという。また、プロドローンでは「情報フローティング + ドローン」の研究も推進している。これは、移動体同士が情報を交換して移動することで、特定のエリアのみに拡散させる情報伝達の研究になる。

5G時代のドローンビジネスとしてプロドローンが提供する「顔認証エンジン + ドローン」

 その他にも、End to EndのセキュリティをNICT(情報通信研究機構)と共同で開発している。

 プロドローンでは、4Gから5Gへは移行(Migration)ではなく、当面は成熟した通信インフラとして並行して活用される、と捉えている。すでに利用できる4Gを活用して、スマートドローンでは長距離や広範囲への飛行を可能にし、遠隔での飛行監視と4G LTEによるクラウドへのアップロードやリアルタイムの確認を実現していく。そして、5Gのサービスの普及にあわせて、4Gからサービスが加速(Acceleration)する。