Elsightのロゴ

 2025年4月8日、ドローン通信技術を手がけるイスラエルのElsightは、日本における情報発信を活発化し、本格始動すると発表した。同社はこれまで総販売代理店であるナビコムアビエーションを通じて日本の各省庁や自治体等への拡販を行ってきた。

 地震が多く発生する環境や気候変動による自然災害の増加、人口減少による物流やインフラ点検の担い手不足といった社会課題が深刻化する中、日本ではドローンの社会実装に向けた期待が高まっている。2022年にはレベル4飛行(有人地帯での目視外飛行)が法的に解禁され、物流・災害対応・インフラ点検などへの実装に向けた実証が全国各地で進行している。

 特に、山間部や離島を含む「物流のラストワンマイル」問題に対し、ドローンによる効率的かつ安全な配送手段が期待されており、日本が技術面・制度面の両方で変革のタイミングを迎えていることが本格始動につながった。

 Elsightが提供する「Halo」は、ドローンの目視外飛行に特化して設計、特許取得されているLTE、5G、衛星通信を統合可能な無人航空機向けマルチリンク接続プラットフォーム。BVLOS(目視外飛行)接続を提供し、複数の4G/5Gネットワーク・衛星通信・Wi-Fiなどを統合することで途切れない接続を保証する。

 この技術により、ドローンやUAV(無人航空機)の遠隔操縦が可能になるほか、一人のオペレーターが同時に多くのドローンを管理することができ、すでにヨーロッパやアメリカ、中東等においてドローン製品への普及が進んでいる。

 例えば、アメリカ合衆国の救急サービス、ドバイの警察機関、EU諸国の消防・公共安全機関などで採用され、災害救助、警察・捜索活動、緊急医療配送などに活用されている。リアルタイム映像伝送や遠隔制御が必要なミッションでも、安定したオペレーションが可能となる。

走行する緊急車両、飛行する複数のドローン

 日本におけるドローンについては、通信・制御系のインフラや社会的な認知、理解の面で課題があり、とくにレベル4運用の拡大に伴い、安全性・即時性・信頼性の高い通信環境の整備が急速に求めらている。また、ドローンに対して不安を持つ人々に対して技術改善や最新の情報を発信し、不安を払拭する必要があるとしている。

 今後、Elsightは、ナビコムアビエーションとのパートナーシップを通じて、Haloの国内導入に向けた実証、技術サポート、販売体制の整備を段階的に進める予定。特に、防災・物流・インフラ点検といった公共性の高い分野において、信頼性の高い通信ソリューションを提供することを目指すとしている。