三菱重工業は、日本UAS産業振興協議会(JUIDA)と連携して、南海トラフ巨大地震の発生を見据えて実施された陸上自衛隊中部方面隊主催の災害対処訓練「南海レスキュー2024」(2025年1月13~17日)に参加し、2025年1月15日、淡路島において、同社が開発中の小型シングルローター型無人機(以下、小型無人機)を用いた発災直後の被害状況確認訓練や、中型マルチコプター型無人機(以下、中型無人機)を用いた被災地への重量物資輸送訓練を実施した。中・小型機とも所期の目的を成功裏に達成した。

 中型無人機を用いた被災地への重量物資輸送訓練では、重量のある支援物資を強風の中で輸送し、孤立地域を想定した場所に届けてウインチによる自動荷下ろしが可能であることを実証した。

 具体的には、キリンビバレッジから支援物資として提供を受けた2Lペットボトルの飲料水72本(重量150kg)を、風速最大10m/s弱の強風の中、離陸・巡航時には抱え込んで飛行することで風の抵抗を抑え、荷下ろしの際にはホバリング状態においてウインチでロープを伸ばし、接地後に切り離した。

 小型無人機を用いた発災直後の被害状況確認訓練では、搭載カメラにより被災者や被害箇所の確認が可能であることを実証した。

中型無人機による重量物資輸送と自動荷下ろし(DiscoverMHI YouTubeチャンネル)

 三菱重工業は、民生用途と防衛用途の双方に使用可能なデュアルユースを想定した無人機の開発を進めており、今後、携帯電話が使用できないエリアでも通信可能な衛星通信機能の搭載、中型無人機のハイブリッド化による航続距離の延長などの機能向上を進めるとしている。

 小型無人機は、災害発生初期の被害状況の広域・迅速な調査、河川や道路などのパトロールなどへの活用を目指す。また中型無人機は、頻発する災害時に課題となる孤立地域への支援物資輸送、離島や山間部など物流量が少ない路線での物流の効率化のためのトラックや船からの代替、送電鉄塔の建設・補修工事など車でのアクセスが困難な山間部の工事での資材運搬などへの活用を目指す。

中型無人機 仕様

ペイロード200kg
航続距離15km(試作機)、200km(将来計画)
機体寸法全長約6m
動力バッテリータイプ
ハイブリッドタイプ(エンジンで発電)開発中
運搬容易性発着地までトラックで運搬可能
実証試験のための追加装備ウインチを使った自動荷下ろしシステム、支援物資運搬コンテナ
写真:ホバリングしながらウインチで荷物を下ろすドローン
被災地への物資輸送訓練に使用した中型無人機

小型無人機 仕様

 耐風性(風速20m/s)を考慮したシングルローター型。

機体寸法長さ 約2m × 幅 約0.5m × 高さ 約0.9m
航続時間最大2時間
飛行速度巡航速度80km/h(最大130km/h)
ペイロード7kg 燃料含む
搭載機能可視光カメラ
動力ガソリンエンジンによる駆動(この訓練では飛行距離が短いことから電動モータータイプを使用したため仕様とは一部異なる)
写真:飛行する小型無人機
発災直後の情報収集訓練に使用した小型無人機