2025年1月15日、エアロネクストは、経済産業省の令和5(2023)年度補正「グローバルサウス未来志向型共創等事業費補助金(我が国企業によるインフラ海外展開促進調査:二次公募)」に、同社の「モンゴル国/ドローンを組み込んだスマート物流の標準化実証事業」が採択されたことを発表した。

 同事業は、交通渋滞が深刻化するモンゴル・ウランバートル市内において、医療分野を起点にドローンおよび次世代輸送配送管理システムを活用したスマート物流の都市型モデルを実装し、新たな空のインフラを構築するもの。さらに、類似の課題を抱える新興国の他都市へ展開する可能性を検証していく。

写真:ビルが立ち並び、たくさんの車が走行する都市の上空を飛行するドローン
2023年11月の実証実験。血液を載せてウランバートル市内を飛行する物流専用ドローン「AirTruck」。

 慢性的な渋滞や脆弱な道路インフラによる医療分野の物資輸送の課題に対し、エアロネクストは2022年よりモンゴルでの活動を開始。国際協力機構(JICA)の2022年度「中小企業・SDGsビジネス支援事業(ニーズ確認調査)」の採択、2023年度「中小企業・SDGsビジネス支援事業(ビジネス化実証事業)」の採択をうけ、ドローン活用による医療品の配送網構築のためのビジネス化実証事業を進めてきた。

 2023年11月には、エアロネクストと現地の協力会社であるNewcom Groupと共に、国立輸血センター、モンゴル国立医科大学付属モンゴル日本病院間で、外気温-15℃の中、日本での「レベル4(有人地帯における補助者なし目視外飛行)」に該当する飛行の実証実験を実施。ドローン活用による医療品の配送網構築を推進してきた。

 エアロネクストの戦略子会社であるNEXT DELIVERYの運航チームは、Newcom GroupのMSDD(Mongolia Smart Drone Delivery)運航チームのスタッフを日本やモンゴルでトレーニングし、遠隔パイロット、チームを育成。MSDD単独での運航体制の構築を進め、2024年6月には、MSDDがモンゴル国民間航空庁(MCAA)からドローンの商用飛行ライセンスを取得した。8月より国立輸血センターから市内の3つの病院(日本モンゴル病院、アムガラン病院、第一母子センター)への血液のドローン配送実運用を開始。これまでは救急車両などを利用していた輸血用血液の配送の一部をドローンで配送する定期的な運用と緊急対応を実施している。8月から9月末までの45日間で50回、輸血センターから3か所の病院へ血液を輸送する商用飛行を行った。また、手術用の輸血用血液の緊急配送により2人の人命救助にも貢献した。

 今回の採択により、エアロネクストは、モンゴルにおいてこれまで実施してきた活動をさらに加速させ、医療分野を起点にしたスマート物流の都市型モデルの構築、検証、社会実装を行い、他の新興国への展開を目指す方針だ。

写真:ドローンとの記念撮影
Newcom GroupのMongolia Smart Drone DeliveryとNEXT DELIVERYの運航チーム(モンゴル国立輸血センター)

採択案件 概要

提案内容モンゴル国/ドローンを組み込んだスマート物流の標準化実証事業
調査期間2025年1月(採択決定日)~12月31日
実施概要(予定)1)ドローン配送のデファクトスタンダードの構築
2)ドローン配送を組み込んだ最適な物流オペレーションのデファクトスタンダードの獲得
3)事業化/資金調達活動ならびにキルギス・ウズベキスタンにおけるニーズ確認