2025年4月21日、石川県、石川県警察、KDDIは、石川県河北郡津幡町でドローンポートの社会基盤化に向けた遠隔飛行実証に成功したと発表した。

 実証では、令和6(2024)年奥能登豪雨規模の災害発生時における被害状況の確認、避難誘導、地図上での災害情報の一元化をすべてAIドローンにより遠隔で実施。ドローンポートから遠隔操縦されたAIドローンが即時現場に駆けつけることで、被害状況の確認、避難誘導ができることを確かめた。また、撮影したドローンの映像を地図上で一元化し、県と警察間での迅速な情報共有を実現することで、初動対応の迅速化が期待され、社会基盤としてドローンポートを配備することの有用性を確認した。

写真:設置されたドローンポートとドローン
実証の様子

 実証では、ローソン津幡みずほ病院前店に設置したドローンポートから、遠隔操縦でAIドローンを豪雨災害の被害現場と見立てた場所まで飛行させ、ドローンの高精度カメラから被害状況を確認し、ドローンに搭載したスピーカーで避難誘導を行った。

 また、ドローンで撮影した映像は地図上に表示して災害時に必要な情報を一元化し、県と警察間など多地点での情報共有に成功した。

背景・目的

 この実証は、地域活性化と能登半島地震からの創造的復興の推進を目的とする「石川県とKDDIの包括連携協定」に基づき、平常時と災害などの非常時を区別しない「フェーズフリー」をコンセプトに実施したもの。

 石川県、石川県警、KDDIが行う実証の第2弾であり、ドローンを事件・事故時の初動対応といった警察活動に活用することで、大規模災害時にもドローンを迅速に利活用する体制の整備を目指す。

 令和6(2024)年奥能登豪雨の災害対応では、水位の上昇が早く避難までのリードタイムが取れない、地上から現場に急行するのが難しいといった課題があった。これらの課題に対して、ドローンで空から現場へ急行し、現場の被害状況の把握や早期避難誘導を行うなど、迅速かつ的確な初動対応につながることを目的としている。

 この実証は、過去実際に豪雨災害の被害があった石川県河北郡津幡町で行った。

実証について

 令和6(2024)年奥能登豪雨規模の大規模災害を想定し、線状降水帯により河川が増水して氾濫のおそれが生じたと仮定し、現場確認と避難誘導の実証を実施した。

 ローソン津幡みずほ病院前店に設置した自動充電ポート付きドローン「Skydio Dock for X10」を4G LTEによる遠隔操縦で、エッジAIによる障害物回避のサポートのもと、豪雨災害の被害現場と見立てた場所まで飛行させ、リアルタイムで遠隔から現場状況を確認した。過酷な自然環境にも耐えるSkydio Dock for X10は、突発的な災害発生時にも対応が可能。

 現場到着後、AIドローン「Skydio X10」の高精度カメラ映像を通じて遠隔で現場を確認し、機体側面にアタッチメントとして搭載したスピーカーを使い、「動く防災無線」として河川付近にいる要避難者に対して避難誘導を実施した。

 現場に急行するまでに撮影した映像をKDDIが開発中の「防災マップボード」と連携し、ドローンで撮影した画像を地図上に表示して災害時に必要な情報を一元化した。インターネットブラウザーがあればどこからでも確認でき、県と警察間で効率的な情報共有と、迅速かつ的確な初動対応が可能なことを確認した。

写真:飛行するドローン
写真:PC画面を見ながらコントローラーを操作する様子、PC画面を見る警察官
実証の様子

 ドローンの運航はKDDIスマートドローンの協力のもと実施。KDDIとKDDIスマートドローンは、ドローンポートを日本中に1000か所設置することで、日常と災害などの非常時を問わず、どこでも10分でAIドローンが遠隔操縦で駆けつけ可能となるドローンの社会基盤化を目指している。

【使用機体】

写真:ドローンポート、飛行するドローン
自動充電ポート付きドローン「Skydio Dock for X10」
写真:スピーカーを搭載したドローン
アタッチメントのスピーカーを搭載したドローン

【各者の役割】

石川県飛行フィールドの提供
石川県警察実証シナリオの策定
KDDI実証全体の企画・統括
KDDIスマートドローンドローン運航