2025年4月21日、NTT e-Drone Technology(以下、NTTイードローン)は、ドローンのカメラ等で撮影した画像をAIで解析し、点検業務や防災等に役立てる新サービス「eドローンAI」の提供を開始した。

 このサービスは、ドローン撮影請負サービス「おまかせeドローン」のオプションであり、ドローンの機体やパイロット派遣だけでなく、撮影後の画像に対してのAI解析まで一気通貫した実施が可能になる。

 初回機能は、橋梁を対象とした鋼材の“サビ”とコンクリートの“ひび割れ”を、高精度に検出できる「サビひび検知AI」。このAIは、日本電信電話(NTTアクセスサービスシステム研究所)のR&D成果を応用活用し、検出率95%(※1)と高い精度を実現している。今後は、橋梁だけにとどまらず、社会インフラ設備の点検業務の精度向上や効率化、ベテラン技術者の目で見つけていた損傷をAIが代わりに検出することで技術継承の課題解決へも寄与するとしている。

※1 サビ検出率=AIが検出したサビ個数/真のサビ個数、ひび割れ検出率=AIが検出したひび割れ本数/真のひび割れ本数で自社検証した結果。

おまかせeドローン(写真撮影)→eドローンAI(AI検出、結果出力)
「eドローンAI」のサービス利用イメージ

 道路、橋梁、ダム、送電設備などのインフラは、高度経済成長期に整備されたものが多く、特に橋梁は全国に約73万橋あり、2030年にはその内の50%が建設後50年以上経過した状態になる。現時点でも、修繕工事が必要な橋梁の33%にあたる約2.2万橋の修繕が未完了の状況となっている。少子高齢化の進行に伴い、点検や修繕業務を行う建設業の就業者は1997年をピークに30%以上も減少しており、ベテランから若手への点検業務の技術伝承も課題である(※2)

 また、地球温暖化が進む中で、1976年から2020年にかけて集中豪雨の発生頻度も約2.2倍と増加しており、最近では山火事も増えている。気象災害も増加しており、ドローンによる被災状況把握の対応も今後さらに増えることが予想される。

※2 数値データの出典:国土交通省ホームページ

「eドローンAI」サービス概要

 ドローンの機体とパイロットを派遣し、点検測量、農薬散布、空撮等を実施する「おまかせeドローン」のオプションサービス。ドローンの機体とパイロット派遣から、撮影した画像の解析までの一連の業務を請け負う。

 ドローンで撮影した画像以外に、顧客自身で用意した画像も解析が可能。初回機能のサビひび検知AIでは、橋梁を撮影した画像に対して同機能を活用することで、サビやひび割れを検知。橋梁以外のインフラ設備にも応用が可能だ。

eドローンAIのサービスホームページ
「eドローンAI」サービスホームページ

「サビひび検知AI」の特長

【サビとひび割れを同時に自動検出】

  • 鋼材とコンクリートそれぞれで損傷数が一番多いサビとひび割れの検出に対応。目視確認の負担を軽減し、点検業務の効率化に貢献する。

【高精度で信頼度の高いAI】

  • 国土交通省が定める「点検支援技術性能カタログ」に登録。
  • 全国でドローンを飛ばして集めた橋梁画像を中心に学習したAIで、検出率が95%と高精度(NTT東日本グループでは、自社設備点検で年間100橋程度のドローンによる点検を実施)。

【ドローン撮影からAI解析までフルサポート】

  • ドローンを活用した包括的な点検業務の支援が可能。契約手続きを1本化できる。
  • AI解析に適した撮影条件・画像条件設定も実施可能。
  • 大量に撮影した画像からAI解析に必要な画像にしぼることなく依頼が可能。


 今後、サビひび検知AI以外のさまざまなジャンルにも機能を拡大していく予定。例えば、コンクリートの漏水、遊離石灰、剥離、鉄筋露出検知、鋼材の腐食深さ推定、港湾設備でのひび割れや段差・ずれ検知、赤外線映像での人検知などのAI機能開発を予定している。

 さらに平時だけでなく、防災分野での活用も視野に入れており、災害時の対応等にも活用できるAIを目指すとしている。

▼eドローンAI
https://www.nttedt.co.jp/edrone-ai