2024年7月19日、センシンロボティクスは竹中工務店と共同で、国土交通省が主導する「Project PLATEAU(プロジェクト プラトー)」(※1)の一環として、都市部におけるドローン自律飛行技術の確立を目指し、実証実験を実施したことを発表した。
通常、ドローンの自律飛行では位置を特定するためにGPSを用いるが、高層ビルの谷間などは受信状況が悪く、飛行安定性が確保できないという課題があった。そこで両社は、従来のGPSに加え、建物との距離を計測するLiDAR(※2)と移動量を算出するVIO(※3)の2つの機能をドローンに搭載し、自己位置推定の冗長化を図った。
GPSの受信状況が悪い場所をドローンが飛行する場合、3D都市モデルおよびBIMから作成した点群マップを活用し、同じ形状の窓が並ぶ高層ビルの周辺など、LiDARによる測位精度が低下する場所ではVIOの画像判断により測位精度を確保する。
実証実験では、大阪府堺市の高層ビルが立ち並ぶエリアにおいて建物に沿って高高度の飛行を行い、建物の屋内に着陸するルートを設定し、同開発システムを用いたドローン自律飛行を実施。高層ビルの谷間においても正確かつ安全に建物屋内外を自律飛行で往来できることを確認した。
※1 Project PLATEAU:国土交通省が推進する3D都市モデルの整備・活用・オープンデータ化プロジェクト。誰もが自由に都市のデータを引き出し、活用できるようになることを目指す。
※2 LiDAR(Light Detection And Ranging):照射レーザーの反射光により、対象物までの距離や対象物の形などを計測する技術。
※3 VIO(Visual Inertial Odometry):連続的に取得したカメラ画像の変化を捉えることでドローンの移動量を算出する技術。
同取り組みは2024年度の「Project PLATEAU」「建築・都市DXの推進に向けたユースケース開発業務」にも採択されており、センシンロボティクスも引き続き参画する。大阪・関西万博会場を建設中の夢洲地区において、ドローンの自律飛行で資材運搬を行う実証実験などを行う予定で、建設現場における生産性向上や省人化を目指すとしている。