2024年6月11日、日本DMCは、沼津工業高等専門学校(以下、沼津高専)と共同で、災害時物資輸送のための無人航空機(ドローン、UAV)向けの共通ドローン航路と個別飛行ルートの設定に関する研究を行うことを発表した。

 災害時の無人航空機による救援物資、医薬品等の輸送が注目される一方、他の航空機との空域調整が課題となっている。災害現場では、ドクターヘリや消防防災ヘリコプターなど多くの有人機が飛び交っており、ドローンを飛行させる際には有人機との事故を避ける仕組みが必要となる。現状では、災害時には国土交通大臣による緊急用務空域(※1)の指定が行われ、災害発生地域でのドローン飛行は制限されるのが一般的だ。

 また、浸水や土砂崩れ、建物倒壊などにより周辺状況は変化するため、離着陸地点、トラブル発生時の緊急着陸地点の設定も課題となる。

 そのため、災害時の飛行ルートの設定や有人機への情報共有に手間がかかり、迅速な対応を行う上で負担となっている。

 同研究では、災害時の物資輸送を想定し、UAVの共通航路となるドローン航路、個別の飛行ルート、離着陸地点等を、誰もが安全かつ迅速に設定できるようにすることで、UAVによる救援物資の輸送が円滑に行われることを目指す。

 なお同研究は、沼津高専の卒業研究および専攻科実験の課題として共同で実施する。

※1 緊急用務空域:災害等の緊急事態において捜索、救助などの緊急用務を行う航空機の安全飛行を確保するために国土交通大臣によって指定される空域であり、無人航空機(UAV)の運航が制限される特定の空域を指す。

ドローン航路(空域)を設定したイメージ

 ドローン航路とは、UAVの飛行に適した空域のことで、複数のポイント間を結ぶように設定する。安全性や効率性、有人機との飛行管制を考慮して決定し、個別のミッションに応じた飛行ルートを作成する際に優先的に用いられることを目的として設計する。

【検討課題】
離陸地点、着陸地点が満たすべき安全性や効率性の要件の検討・定義
緊急着陸地点の設定
倒壊した電柱、電線、建物、がけ崩れなどの環境変化による影響
他の有人機との飛行管制
LTE回線や衛星通信の活用
電波干渉(機体通信およびGNSS)
送電塔、鉄塔等の障害物
電源や無線LANの利用可否

【離着陸地点やドローン航路の設定に活用するデータ】
地理院地図(https://maps.gsi.go.jp/
G空間情報センター(https://front.geospatial.jp/):空域の安全性確認 静岡県航空レーザ点群データ
ふじのくにデータカタログ(https://opendata.pref.shizuoka.jp/)津波想定予想区域 離着陸地点から除く
Project Plateau 3D都市モデル(https://www.mlit.go.jp/plateau/open-data/