2024年5月31日、ACSLは、ナビコムアビエーションおよびイスラエルのElsightの提供する通信モジュール「Halo」を物流専用ドローンへ導入することを発表した。

 Haloは、ドローンの目視外飛行に特化して設計された、LTE、5G、衛星通信を統合可能なプラットフォーム。安全な飛行に欠かせないC2リンク(※1)の接続の信頼性を向上するソリューションとして、欧州や米国、オーストラリア等でドローン製品への普及が進んでいる。

 日本では、2022年12月のレベル4飛行(※2)の解禁や、2023年12月のレベル3.5飛行(※3)の創設により社会実装に向けた制度整備が進む一方、中山間地域や離島など物流のドローン活用ニーズが高い地域では、長距離の目視外飛行に必要となるLTE通信の脆弱性が課題となっていた。

 Haloの導入によりLTE通信の接続性を大幅に向上させ、複数の通信会社のLTE通信を冗長化することにより、これまで単一のLTE通信では飛行が難しかったエリアでの飛行を可能とする。

※1 C2リンク:ドローンの遠隔操作と制御に使用する「Command and Control Link」の略。
※2 レベル4飛行:有人地帯における補助者なし目視外飛行。
※3 レベル3.5飛行:従来のレベル3飛行(無人地帯における補助者なし目視外飛行)で必要とされる立入管理措置(補助者・看板の配置)がデジタル技術の活用により撤廃され、道路や鉄道等の上空の横断が条件付きで可能となる飛行方法。

各社コメント

ACSL 代表取締役CEO 鷲谷 聡之 氏

 私たちACSLは、2018年のレベル3飛行や2023年3月の第一種型式認証の取得とレベル4飛行の実現をはじめ、国産ドローンのリーディングカンパニーとして、これまで各分野における日本のドローンの利活用拡大を推進してきました。そして、国内で特に注力すべき分野と位置付けている物流分野において最も重要な課題の1つである通信環境の確保に向け、革新的な技術を持つパートナーと協業できることを大変嬉しく思います。Elsightの製品は、各国で物流ドローンにおいて、採用実績が広がっており、当社の物流ドローンの品質を高めることでドローンが活用可能なエリアを拡大し、日本における物流分野でのドローンの社会実装の促進に貢献すると考えています。

ナビコムアビエーション 代表取締役社長 平塚 弘司 氏

 ナビコムアビエーションは、災害対応や治安活動にあたる有人航空機の安全かつ効率的な運航を支援する機材を、これまで提供してまいりました。ドローンの能力が向上し社会実装が可能となった今日、課題の一つである通信の問題に取り組み解決策を提供することは、私たちの使命であると考えています。私たちは、ACSL社及びElsight社とともに課題に挑戦し、ドローン運用の拡大によって豊かな未来を創造できるよう努力を重ねていきます。

Elsight CEO Yoav Amitai 氏

 Elsightは、ACSL及びパートナーであるナビコムアビエーションとの連携を大変喜ばしく感じています。本件により、私たちの「Halo」ソリューションを用いたドローン等の自律システムが、目視外飛行の能力を強化することで新たに有望な市場開拓が可能となります。

「Halo」は様々な分野のあらゆるドローンの活用に適しており、商業利用されているほとんどの無人航空機のモデルとシームレスな統合が可能です。ドローン市場拡大の真の推進力となる更なる課題解決とコスト削減をElsightの「Halo」が可能とし、目視外でのミッション実現の鍵となります。

【参考】「Halo」紹介動画(Elsight)