2024年5月24日、東日本電信電話 山形支店(以下、NTT東日本)は、山形県置賜地域において、ドローンと低遅延映像配信基盤を活用した災害時における被災状況の確認・映像配信に向けた実証実験を開始することを発表した。

 2023年5月に締結した置賜地域におけるレジリエンス強化推進プロジェクトの一環として実施するものとなる。

 置賜地域の各自治体では、職員が行う災害時の被災状況の確認・把握を地域全体に実施することが困難な状況にある。また、被災状況の通報があっても、言葉だけの情報では実際の被災状況を正確に把握することが難しいといった課題があった。

 実証実験では、NTT東日本がドローンを使って広範囲の現場状況を撮影し、リアルタイムに映像配信することで即時的で正確な情報収集を行い、被災自治体の災害対策本部での意思決定を高度化、迅速化することを目指す。

【取り組み内容】

1. 当該自治体の過去の災害時データ・気象予測データをもとに、自治体からの要請を待たずにドローンを飛行させる体制を確立し、発災前または発災直後の状況を速やかに情報提供する。

2. ドローンで撮影した被災状況の映像をリアルタイムに自治体の災害対策本部等へ配信するとともに、本部からの指示に基づき撮影箇所の調整にリアルタイムで対応する。

3. 災害種別として、風水害、林野火災、地震等の災害で被災状況の確認を行うが、さまざまなケースで災害支援に対応する。

実証実験の概要

 気象予測データ(降水量予測等)を活用して事前にドローンを飛行させる体制を確立し、当該自治体へ出動。NTT東日本局舎や自治体が管理する場所を拠点に発災前後の状況をドローンで撮影し、自治体の災害対策本部へ映像を配信する。

 実施場所は、置賜地域3市5町(米沢市、長井市、南陽市、高畠町、川西町、小国町、白鷹町、飯豊町)、実施期間は2024年6月1日~2025年10月31日。各自治体の実施時期・場所については今後調整する予定。

 使用する機材は、NTT東日本が所有する高精細カメラ搭載の空撮用小型ドローン「ANAFI Ai(アナフィ エーアイ)」と、赤外線カメラ搭載の「ANAFI USA(アナフィ ユーエスエー)」および低遅延で高品質な映像配信を可能とするプラットフォーム「VBOLT(ボルト)」。

左:仏Parrot社製「ANAFI Ai 」、右:仏Parrot社製「ANAFI USA」

 ドローンで撮影した映像から被災状況をどの程度確認可能か(ドローン飛行箇所から被災場所までの距離、映像の解像度等)、撮影した被災状況の映像によって自治体の意思決定(避難指示、避難誘導、復旧指示等)にどの程度貢献可能か、ドローンを飛行するための体制確立に至るタイミングの妥当性(水害を想定した場合、降水量予測をもとにした閾値での実行)を検証する。

ドローン映像配信構成
ドローン映像配信概要(VBOLT)
ドローン映像配信の確認

 今回の実証実験で各自治体の意思決定支援に対しての有効性を検証し、本格的な展開に向けて検討を進める。また、地域の情報を統合的に管理・分析し、自治体の意思決定を支援する機能(地域オペレーション機能)を今後提供する予定だ。

 なお、NTT東日本グループ(NTT東日本山形支店、エヌ・ティ・ティ エムイー、NTT e-Drone Technology)は、2024年5月に発生した高畠町、南陽市での林野火災現場において、自治体・消防機関等と連携し、ドローンによる空撮および空撮映像のリアルタイム配信により消火活動の支援を行った実績がある。

実災害でのドローン映像配信対応