NTTコミュニケーションズ(以下、NTT Com)は、ドローンなどの無人航空機向け「LTE上空利用プラン」の利用範囲・適用対象を2024年5月15日から拡大する。これにより、ヘリコプターなどの航空機(飛行機での利用は対象外)や上空150m以上でもLTEを利用できるようになる。

(空飛ぶクルマ画像出典:経済産業省HP

 LTEの上空利用は、地上の電波への干渉を避けるため、電波法の規定により一定の条件を満たした場合にのみ可能となる。NTTドコモ(以下、ドコモ)とNTT Comが連携して提供する同プランは、ドコモが基地局に対して送信電力の制御を加えているため、利用者は機体に開発を加えたり専用モジュールを搭載することなく上空でLTEを利用できる。

 これまでヘリコプターなどからデータ通信を行う場合は、主に衛星通信もしくは総務省への個別申請によるLTE利用という2つの方法があったが、高速大容量の通信が十分にできない、手続きに時間がかかるといった課題があった。

 また、地上と通話する場合は航空用のVHF無線(※1)、機内から撮影した映像の中継などにはヘリコプター映像中継システム(※2)が利用されているが、機器の導入コストは高額で故障交換時の負担も大きい。

 同プランは日常的に利用しているモバイル端末をそのままヘリコプターなどに利用できるため、機内からの音声・データ通信や、機体に搭載している機器の制御・監視などをより手軽かつ低コストで実現できるようになることが見込まれる。

 NTT Comは、2028年度内までに300件以上の受注を目指し、より安定した通信を利用できるための機能拡充も検討するとしている。

※1 VHF無線:超短波(Very High Frequency)と呼ばれ、波長が1~10mの電波を使った通信。航空機や船舶などで用いる。

※2 ヘリコプター映像中継システム:ヘリコプターに専用のカメラと映像伝送装置(マイクロ波送受信アンテナ、FPU)を備え、主に航空機からの映像をリアルタイムに地上へ送信するシステム。各テレビ局のほか、自衛隊、警察、消防防災ヘリなどが搭載している。