2024年5月8日、DFA Roboticsは、神奈川県ロボット実装促進センターが主導する支援制度「導入実証サポート」を通じて、箱根町の湯本富士屋ホテルに清掃ロボット「PUDU CC1(プードゥー シーシーワン)」を導入したことを発表した。

 これにより、清掃時間を約10~20%削減し、清掃スタッフの業務を効率化。また、汚れを数値化できるキットを用いて検証した結果、清掃ロボットは人が行う清掃よりも汚れを落とし、清掃の品質をキープできることが分かった。

 多くの観光客が訪れる箱根町では、人手不足の問題が深刻化している。その一方で宿泊施設は増加しており、働き手が必要とされている。人手不足解決に向けて神奈川県は「ロボット実装促進センター」を開設。施設が抱える課題のヒアリングからロボット企業とのマッチング、導入実証サポートを行い施設を支援している。

 2023年10月より実施した導入実証サポートでは、既存のロボットでは課題解決を得られない7施設を対象に、ロボット企業と協力して施設の仕様に合わせた活用ができるようサポートを実施。DFA Roboticsは、湯本富士屋ホテルや商業施設、病院などで導入実証を行った。

湯本富士屋ホテルの清掃ロボット導入実証

 DFA Roboticsは、湯本富士屋ホテルの人手不足による省人化、清掃業務の負荷軽減、浴室環境でのロボットの清掃効果を実証するため、2023年12月27日~2024年3月10日の期間、1台で吸引・水拭き・掃き・乾拭きの4役を担う自動走行可能な清掃ロボットPUDU CC1の実証導入を実施した。

 導入エリアは脱衣所と浴室(男湯・女湯の両湯)。導入当初は脱衣所に段差があり、走行のたびにロボットを持ち上げる手間が発生したためスロープを設置し、ロボットがスムーズに走行できる環境を整えた。

【実証導入における取り組み】

清掃ロボットの運用(起動~タスク実施、遠隔操作)レクチャーを実施
機体の日常メンテナンス方法を説明し、イレギュラーな不具合を削減
実機を操作しなくても遠隔でタブレット上で清掃開始~清掃データの収集、清掃中のロボット状況を把握できるようアプリと連携
スタッフとの衝突などの安全性を加味して自立走行時のスピードを調整
スロープや浴室エリア内の段差からの落下防止のため、マップ上で禁止エリアを設定/階段に落下防止シールを貼付しロボットの落下防止策を実施
スロープで利用客がけがをしないようゴムシートで補強

【導入の効果】

1. 清掃スタッフの省人化・省力化

 導入の結果、外部委託の清掃スタッフを1~2名削減可能になり、適切な人数で運営できる状態になった。また、清掃時間を10%~20%程度削減した(1回あたり15分程度)。

2. 清掃エリアの拡大

 浴室内清掃における床面清掃の7~8割をロボットが代替することで、行き届かなかった細かな清掃を実施することができ、パブリックスペースの清掃面積が3.4倍に拡大した。週2回程度行っていたバックヤードの清掃は、夜間にロボットを活用することで毎日実施可能となった。

3. 清掃品質の均質化

 汚れを数値化して清掃品質を検証できるキットを活用し、人とロボットの浴室内床面清掃品質を比較。その結果、人の清掃よりも汚れを落とせただけでなく、検査場所による数字のばらつきがないことから清掃品質が均質化できていることがわかった。