2024年4月19日、北海道電力は、石狩湾新港発電所1号機の設備巡視点検業務にロボットを導入し、運用を開始したことを発表した。

 火力発電所では、電力の安定供給に向けたトラブルの未然防止のため、運転員が設備の巡視点検を行っている。点検範囲が広く時間を要することから、同社はDXの一環として、巡視点検業務の効率化と品質向上を目的に自律型ロボットの導入について検討を進めていた。

 各種自律型ロボットの調査や適用可能性について検討を行い、HBA製のロボット「HBA SMART ROBOT」(以下、HSR)を選定。石狩湾新港発電所1号機における試運用を経て、共同で火力発電所の巡視点検向けに調整・改良を行い、本格運用を開始した。

HSRによる点検イメージ

 HSRは、点検開始時刻や点検順序をあらかじめ設定することで、自動で充電ドックから出発。対象の機器に接近し、多関節の可動アームと可視光カメラを用いて、機器の外観状況やアナログメーターを撮影、監視用パソコンに逐次画像を伝送する。運転員は、HSRが送った画像から機器の状態を確認することできる。

 これにより、巡視点検を効率化するとともに、アナログメーターの画像データを自動で時系列データ化する機能を実装したことで、点検業務の品質向上が期待できる。

HSRの活用イメージ

 またHSRは、温度測定用サーモカメラ、油漏えい検知用紫外光ライト、音響解析用集音マイクを搭載しており、今後これらの機能を活用したデータの蓄積・分析を通じて、巡視点検業務の標準化や機器の異常判定の自動化を目指すとしている。