パーソルプロセス&テクノロジー(以下、パーソルP&T)は、栃木県那須町の旧大沢小学校を活用し、ドローンを用いた地域DXを推進する地方自治体関係者や民間企業向けの人材育成の取り組みを2024年6月より開始する。

 旧大沢小学校は、ナスコンバレー協議会(以下、ナスコンバレー)がイノベーション拠点として整備しており、パーソルホールディングスが同協議会に参画していることから、今回の地域DX推進人材の育成研修事業が実現した。

地域DX推進人材の育成

 全国的に地域へのDXソリューションの早期導入が期待されている一方、技術的な課題や人材不足などにより約8割の自治体では導入が進んでいない現状がある(※1)

 地域DXの推進には「働き方改革の促進、生産性の向上、ナレッジの共有」につながるフィールドワークのDXが欠かせない。ドローンを現場で活用するには、物流・点検・防災などのユースケースをもとに実際の現場に近い環境で学び、スキルアップする必要がある。

 パーソルP&Tは、専門家の視点から実際の課題に合った講習カリキュラムを作成し、育成支援を行う。

※1 デジタルトランスフォーメーション研究所「自治体DXアンケート調査」(2021年12月実施)報告書より

実践的なドローン訓練・実証の支援

 実際にドローンの訓練を行うための施設は全国で増えつつあるが、首都圏では人口密集や航空法等による飛行制限が多く、実践的な訓練を行える環境が限定的といった課題がある。

 ナスコンバレーの広大な私有地と旧大沢小学校を活用することで、実現場に近い環境と状況で、レベル3.5や4の目視外物資輸送、災害・防災対応、構造物の屋外外壁点検などの実践的なトレーニング、各種実証実験などの支援を行う。

 雨天時には、屋内用ドローンの検証、地域住民の体験会、研修・打ち合わせ、撮影画像の分析/解析の場として体育館や校舎を活用することができる。

ドローン訓練ラインナップ

老朽化した校舎を使った外壁/屋根の損傷個所点検(ひびわれ、さび、鉄筋露出、剥離など)
空き教室を研修・研究施設として活用(検証・分析など)
ドローン未経験者の飛行研修(技術力向上、人材育成)
ドローン研修の開催(防災、人材育成、安全)
飛行訓練環境整備(技術力向上、人材育成)
機体やソフトウェア、カメラなどの機能検証
飛行に必須な通信環境/電源完備

【実践訓練の例】
災害/物流/監視を想定した1対多運行の検証/訓練
災害/物流/点検を想定した目視外飛行の検証/訓練
レベル3.5、レベル4における遠隔制御を想定した訓練

 パーソルP&Tは那須地域の課題解決に向けた支援を継続的に行っており、今回提供する産業用ドローンを活用した研修コンテンツにより、ドローン関連企業の誘致など県外からも人が集まることで、地域経済の活性化も目指すとしている。

2024年3月に実施した那須町役場の職員に対してのドローン研修の様子