NEDOの委託事業「産業DXのためのデジタルインフラ整備事業」(2022年度~2024年度)において、立命館大学は、複数のロボットを活用し、複雑なシステム連携を行う際のデータ連携基盤の運用に係る実証を本格的に開始する。

 同事業を通じて、配送ロボットやドローンなどの自律移動ロボットに必要な種々のシステムのように、運用者の異なる複数システムが高度に連携するシステム(System of Systems:SoS)を形成した際に生じる課題を解決することで、ヒトとロボットが共生し、急速な変化に適応する自律進化を促す社会「Society5.0」の実現を目指す。

 NEDOは同事業において、立命館大学と「複雑なシステム連携時に安全性及び信頼性を確保する仕組みに関する研究開発」に取り組んでいる。
 本テーマでは、配送ロボットやドローンなどの自律移動ロボットに係る種々のシステムのように、運用者の異なる複数システムが高度に連携するシステム(SoS)を形成した際に生じる課題(事故の予見や原因特定が困難など)の解決を目指している。具体的には、SoS運用時のデータの収集・管理・共有が可能となるデータ連携基盤を構築するとともに、従来の一律で詳細な法規制とは異なる新たなガバナンスのあり方(アジャイル・ガバナンス)について検討する。

実証の概要

 立命館大学は、自律移動ロボットの運用データおよびガバナンスに係るデータの収集・管理・共有のためのデータ連携基盤「アジャイル・ガバナンスプラットホーム」を研究開発している。このプラットホームの構築により、運行中の配送ロボットやドローンなどの自律移動ロボットより取得したセンサー情報のほか、建物側に設置した監視センサー(カメラ、LiDARなど)情報の統合管理により、事故やヒヤリハット発生時に短時間での原因の特定と類似災害を防止するための情報共有などを実現する。

 同大学は、2023年9月から、大阪いばらきキャンパス(大阪府茨木市)内のコーヒーショップと連携した配送ロボットをはじめ、自律移動ロボットの運行と同プラットホームの運用を繰り返してきた。今回、5月19日の一般公開イベント「いばらき×立命館DAY」を皮切りに、キャンパス内の大学生協のショップと連携した配送ロボットや清掃・警備ロボットも追加し、複雑なシステム連携時における同プラットホーム運用の実証を本格的に開始する。

実証のイメージ

 今後両者は、実用性および安全性の向上に資する知見を開発にフィードバックし、複数のシステムが連携した際、万が一事故が発生しても原因究明や責任の特定の迅速化に資する同プラットホームの実現を目指す。また、アジャイル・ガバナンスの研究との両輪により、ヒトとロボットが共生し、急速な変化に適応する自律進化を促す社会「Society5.0」の実現に向け取り組むとしている。