2023年10月30日、野村不動産を代表企業とするグループは、東京都政策企画局が展開している「東京ベイeSGプロジェクト 令和5年度先行プロジェクト/A:次世代モビリティ」において「空飛ぶクルマ(eVTOL)用浮体式ポートを核とした、陸海空のマルチモーダルMaaS実現に向けたシステムの構築および運行実証」が採択されたことを発表した。
同事業では、空飛ぶクルマの早期普及を目指し、多拠点化が可能な空飛ぶクルマ用の浮体式ポートの構築・検証を行う。また、自動運転車や自律航行船なども含めた多様な次世代モビリティの社会実装を念頭に置き、陸・海・空でのMaaS実現に向けたシステムの構築および運行実証を行う。プロジェクト期間は、最長2026年3月末まで。
参画するのは、野村不動産のほか、清水建設、ANAホールディングス、朝日航洋、Kidou Systems、エイトノット、東京ウォータータクシーの7社。
空飛ぶクルマの離着陸所に水面を利用
電動化、自動化、垂直離着陸を特徴とする空飛ぶクルマは、交通渋滞が深刻化する都市部での活用に加え、移動手段の確保が課題である離島や山間部での移動に関する利便性の向上、災害時の救急搬送での活用など、新しいサービスの展開やさまざまな社会課題の解決につながることが期待されている。
空飛ぶクルマの社会実装に向けては、離着陸場所の確保が鍵となる。既存建物の活用や新規開発時の一体整備だけでなく、海・川・湖等の水面の利用も可能となれば、空飛ぶクルマの早期普及にもつながることから、多拠点化も可能な浮体式ポートの実現性を検証する。
さらに、空飛ぶクルマの離着陸場からの自動運転車や自律航行船による二次交通も含めた検討を行うことで、シームレスな移動を可能にする新たなライフスタイルの実現を目指す。
次世代モビリティの社会実装に向けた課題の1つであるローコスト化を可能にする自動運転車(インフラ側にもAI機能を付与することで、車両側のシステムを簡素化)や、自律航行船(ロボティクス技術を生かし、後付けも可能なシステム設計)の運航実証、およびそのMaaS化も併せて確認する。
【実施場所】
中央防波堤エリア(東京都江東区・大田区)
・ 海の森水上競技場(陸上部)(図②)
・ 海の森公園東側船着場(図③)
【実証内容】
・ 空飛ぶクルマ用浮体式ポートの構築・検証
・ 自動運転車による運行実証
・ 自律航行船による運航実証
・ マルチモーダルでの旅客を受け入れるターミナル施設の課題抽出
・ 陸・海・空の各モビリティの相互連携を支援するシステムの構築・検証
【各社の役割】
代表企業 野村不動産 | ・プロジェクト全体調整・管理 ・ターミナル施設における課題抽出 |
清水建設 | ・空飛ぶクルマ用浮体式ポートの構築・検証 |
ANAホールディングス | ・浮体式ポートの運用面や設備面および展開可能性の検討・監修 |
朝日航洋 | ・空飛ぶクルマを見据えた既存モビリティによる離着陸実証 |
Kidou Systems | ・自動運転車による運行実証 ・ターミナル施設等におけるロボット関連技術の導入・運用 ・陸・海・空の各モビリティの相互連携を支援するシステムの構築・検証 |
エイトノット | ・自律航行船による運航実証 |
東京ウォータータクシー | ・自律航行船による運航実証 |
アドバイザー Joby Aviation, Inc. | ・浮体式ポートやターミナル施設における空飛ぶクルマ関連の技術的アドバイス |
東京ベイeSGプロジェクト
東京都のベイエリアを舞台に、50年、100年先を見据えて「自然」と「便利」が融合する持続可能な街づくりを構想する東京都主催のプロジェクト。「次世代モビリティ」「最先端再生可能エネルギー」「環境改善・資源循環」の分野における最先端技術の社会実装に向けた取り組みを中央防波堤エリアにおいて行い、東京ベイエリアから世界最先端を実現することを企図している。