2022年4月1日、三井住友海上火災保険(以下、三井住友海上)とMS&ADインターリスク総研は、スタートアップ企業や学術機関等と共同で、洋上風力発電設備の故障や異常予兆を検知するアラートサービスの事業化に向けた研究を開始することを発表した。

 日本の洋上風力発電分野で高額な損害が見込まれる事故要因について、自治体やパートナー企業と連携した実証実験を通じて、ドローンやロボット、センサーにより海中設備や風車の状態データ等を取得・分析する。さらに三井住友海上の損害データを活用し、事故につながる異常予兆の精度を向上させ、アラートサービスの開発を目指すとしている。

事故要因研究開発内容
海底ケーブルの損傷海底ケーブルや海中設備の外観を水中ドローンで点検し、異常を発見する技術を開発。
ブレードの損傷落雷等によるブレードの破損事故を予防・早期検知する技術を開発。
ギアボックス部品の損傷ギアボックス等の風車構成部品をセンサリングし、異常の進展解像度を時間単位で把握することができる技術を開発。
研究開発イメージ

 2020年12月に政府が「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」を発表するなど、洋上風力発電の本格的な導入が期待されている一方、高額な損害につながる事故への防災や減災が、長期安定的な操業のための課題となっている。
 こうした中、三井住友海上が保有する損害データと、三井住友海上キャピタルが出資するスタートアップ企業のFullDepthとLEBO ROBOTICSの技術を活用し、設備の大きな損害につながる可能性のある故障やトラブルを未然に発見するアラートサービスの事業化へ向けた研究を行う。
 FullDepthでは、産業用水中ドローンや海底ケーブル、その他海中構造物の外観を水中ドローンで点検する技術を開発しており、LEBO ROBOTICSは、仏Cornis社のブレード外観調査技術と自社ロボットによる導通検査を組み合わせたサービスを提供している。
 また、再生可能エネルギーデータ利活用学術連携機関との共同研究の検討も開始。共同研究では、主に落雷被害軽減の装置・防護対策の技術実証、ギアボックスの事故を予防する技術支援を行う。

 同サービスの提供により、大規模修繕の回避や操業停止期間の短縮を図り、メンテナンスコストを低減させ、洋上風力発電事業の普及に貢献するとしている。

研究開発体制