2021年7月17日、アイ・ロボティクスは、壁面作業ロボットをコアとした「3D壁面作業システム」によるメンテナンスソリューションの提供を8月より開始すると発表した。20m以上の壁面でも足場が不要で、ドローンや昇降足場との組み合わせにより、さらに複雑な作業も可能。従来よりも工期とコストを50%以上削減し、安全な作業を提供する。屋内外に対応。

ドローンとの組み合わせ作業イメージ

 設備の老朽化とエンジニアの担い手不足は、プラントやインフラ設備保全において喫緊の課題となっている。また、災害やパンデミックへの対応など、さらなる維持管理の効率化、省人化が求められている。

 これらの課題に対して、アイ・ロボティクスは機械化・遠隔化・自動化による産業基盤のDX化を進めており、今回、壁面吸着型の3次元作業ロボットと付随するシステム一式を開発し、市場への提供を開始する。

 今まで高所作業は人力で行っていたが、今後はデジタル技術により維持管理することで、設備保全だけでなくオペレーションそのものを最適化していく。

昇降足場との組み合わせイメージ

 昨年だけでも、日本国内では年間2万件を超える墜落・転落事故が起きており、191名が亡くなっている(全産業、令和2年の厚生労働省による労働災害の統計より)。これには、報告に至らない軽微な落下事故等や、自然災害による足場の倒壊等は含まれていない。

 また、 高度経済成長期に建築された国内の大規模プラントは老朽化し、2020年代後半には半数以上の主要プラントの稼働年数が50年を超えるとされている。また、大規模プラントは沿岸部に建てられることも多く、腐食を防ぐためにも恒常的に内外壁のメンテナンスを必要としている。

 アイ・ロボティクスは、2018年の三菱地所アクセラレータープログラムで優秀賞を受賞して以来、壁面作業ロボットをコアとした3D壁面作業システムの開発を行ってきた。すでに複数の現場で運用を開始しており、今後は現場からのフィードバックを通して改善と新規機能開発を行う、としている。また、実機デモなどを随時行っており、パートナーとの協業事例などを発表していく予定だ。

3D壁面メンテナンスソリューションの特徴

高さ20m超の壁面でも安定した作業
独自の吊り下げ式ウインチ機構と壁面吸着機構、役務作業機材や制御プログラム等の組み合わせ(特許申請中)により、従来は足場が必要だった高所においても遠隔・プログラム操作によりスムーズに物理検査・洗浄・補修などの作業が可能。

特殊な飛行申請を必要としない作業
独自の吊り下げ機構と壁面吸着機構の組み合わせ(特許出願中)により、特殊な飛行申請を不要とし、安全で確実に作業を行う。都市部でのドローン検査作業も壁面吸着型ロボットを利用することで飛行申請の手間を省くことができる。

ドローンとの組み合わせ作業が可能
屋上への侵入が難しい建屋の壁面では、上空に飛行させた特殊ドローンにより壁面吸着作業機の上下左右の移動を補助して運用することが可能。

独自の保険カバー
三井住友海上との連携により、対物10億円の補償を付加。