2021年7月12日、フジタは、センシンロボティクスと共同で、建設現場向け「全自動ドローンシステム」を開発したと発表した。目視外補助者なし飛行(レベル3)により、現場オペレータの介在なしに、現場内の安全巡視や測量業務を行うことができる。フジタによると、建設現場における目視外補助者なし飛行は国内初(2021年7月12日発表時点、フジタ調べ)。なお、現場内はドローン飛行を認知している者のみで、無人地帯として認定される。

全自動ドローンによる測量・安全巡視

 両社は、建設現場における省力化・省人化に向け2年前に同技術の開発に着手、複数現場での実証試験による改良を繰り返し、機能の向上に取り組んできた。現在はドローンの目視外補助者なし飛行は許可申請が必要だが、将来的に目視外飛行や無人飛行に関する各種規制要件が緩和されることを想定し、今回の現場での無人運用に至ったという。

 同技術は、自動離着陸、自動充電、開閉式ハッチなどを備えた、センシンロボティクスのドローン基地「SENSYN Drone Hub」と、フジタの簡易ドローン測量「デイリードローン」、測量用の目印である標定点を設置せず、高精度な出来形計測が可能な「斜め往復撮影ドローン」の技術を組み合わせたシステムとなっている。指定時刻に基地からドローンが自動的に離陸し、事前に指定したルートを通り、測量と安全巡視を実施後、自動で着陸し、充電を実行する。

 現場事務所や遠隔拠点から現場内の様子をリアルタイムに把握することが可能。撮影後の画像確認時には、AIを活用した対象物の自動抽出機能により撮影日の異なる同じ場所の画像を比較することで、現場の変化を把握しやすくなるメニューも搭載している。

全自動ドローン運用状況
自動安全巡視AI変状比較(車両抽出)

 施工中の「令和元-4年度横断道羽ノ浦トンネル工事」(徳島県小松島市)で、全自動ドローンを使用し、1日当たり安全巡視2回、写真測量1回の作業を1カ月間行った結果、出来高管理(測量から土量算出)に必要な業務時間を従来の1/4に短縮し、ドローンの操作、補助に携わる人員2名が不要となった。

 全自動ドローンシステムを導入することで、省人化や時短による効率向上のほか、日々の出来高を土量推移で把握することで工事原価の適正管理が行えることや、空撮により日々の施工進捗が可視化され、施工計画の変更などにすぐ対応できるといった効果が見込まれる。