2021年6月15日、住友重機械建機クレーンは、移動式クレーンのブームアタッチメントが稼働姿勢の状態で、ドローンが自動飛行して画像を撮影する独自アプリ「C-SAI」を開発したと発表した。これにより、事前準備を含むクレーン点検の所要時間の削減と、ブームアタッチメント全体の経年変化データ管理が可能となる。

飛行するドローン(ハイライト部分)
対象部材から約2mの位置で飛行し、撮影した画像

 移動式クレーン定期自主検査項目のブームアタッチメント点検を作業現場で行う際は、「ブームアタッチメントを地上に預ける場所の確保」や「ブームアタッチメントの起伏作業に伴う作業員の追加手配」が必要である。そのため、準備から点検完了まで時間と費用を要し、その間は作業ができず工事が中断する。また、広範囲な箇所の点検を行う技術者の高齢化や不足、高所作業の危険性、検査レベルの平準化と結果の可視化管理などが課題となっていた。

 C-SAIは、複雑な形の移動式クレーンの稼働姿勢が各現場で異なる状態でも、その周囲を一定の距離を保ち自動飛行することが可能だ。ドローンの飛行ルートは簡単な入力作業で設定でき、対象機の位置登録確認や飛行ルートなどをアプリ内の地図上に表示。約2mの距離まで近接し、詳細画像を撮影することができる。基本的なドローン操縦で画像による点検が可能となるため、大幅な時間削減が期待される。今後、ピンポイント多視点撮影、3Dオルソ作成、専用飛行ルート作成などを順次追加する予定である。

対象部材の塗装剥がれ(撮影画像を拡大)
対象部材の状況(撮影画像を拡大)

C-SAIの特徴

1: 常に場所を移動して稼働姿勢が変化し、一機ずつ仕様が異なる移動式クレーンに対して、ドローンの自動飛行ルートを簡単な入力作業で設定可能。

2: 対象機の位置登録確認や飛行ルートを即座にアプリ内の地図上に表示し、飛行前に入力ミスや敷地外飛行を防止。飛行中に、飛行階層、撮影ポイント、撮影画像を同時に飛行表示画面で確認でき、迅速に制御異常を把握可能。

3: 自動撮影は静止画、動画を選択できる他、途中から手動操作への切り替えも可能。

4: 対象機の部材から約2mの距離で近接撮影でき、点検可能な詳細画像を取得。

5: 建設現場に多い、磁場が強い敷き鉄板の上でも安定的かつ正確なルートで自動飛行。

6: バッテリー交換が必要になると離着陸ポイントへ自動帰還。バッテリー交換後に再スタートを押すことで、ドローンが元の撮影ポイントに戻り自動撮影を再開。