2021年6月8日、竹中工務店は高層建物等の外壁調査システムとして、ドローンで撮影した赤外線画像からAIが建物の外壁タイルの浮きを自動判定するシステム「スマートタイルセイバー」を開発し、実用化したと発表した。
同社ではこれまで実証を重ね、2021年3月、地上88ｍの外壁タイル貼り高層マンションにおいて、超高層建物の外壁調査に初適用した。
竣工から10年を経過した建築物は、建築基準法第12条により全面打診等による外壁調査が求められている。高層建物等の外壁タイルの赤外線撮影をドローンが行うことで、打診等人の手による外壁調査の手間がなくなり、仮設足場の設置などにかかるコストを削減でき、人の高所作業が不要となる。
また、取得した赤外線画像をもとに、AIがタイルの浮きを一枚ごとに自動判定し熱分布データとして抽出。どの個所のタイルに浮きが発生しているか一目でわかるため、人の感覚によらない高精度・高品質な調査、省人化、調査期間の短縮を実現できる。
竹中工務店は今後、安全かつ低コストで効率性の高い同システムをタイル貼り高層建物の外壁調査を中心に適用していく、としている。
システムの特長
・ ドローンで外壁の赤外線映像を撮影。人が直接外壁を調査する必要がなくなり、調査コストを削減できる。
・ 赤外線画像から得られるタイル目地とタイル面の温度差によりタイル割を決定。画像をつなぎ合わせ建物全体のタイル割図面を作成することが可能。
・ タイルの浮き状況を赤外線画像の温度差を用いてAIが自動判定。誰が判定しても同じ結果が得られ、省人化にもつながる。
・ 判定結果をCADデータで出力。CADデータと赤外線画像を重ねることで、修復すべきタイルをピンポイントで特定することが可能。
・ CSVデータによる出力でタイル総数がわかるため、タイル浮き率を明確に判定。
