2021年4月14日、経済産業省は、消防庁、厚生労働省と連携し「プラントにおけるドローン活用事例集」を改訂したと発表した。今回の改定では2件の実証実験の結果と、4件の国内企業の事例を追加している。

 経済産業省は、2019年3月、プラント保安分野におけるドローンの安全な活用の促進に向け、消防庁、厚生労働省と連携し「プラントにおけるドローンの安全な運用方法に関するドローンガイドライン(以下、ドローンガイドライン)」と、国内外企業の先行事例を盛り込んだ「活用事例集」を取りまとめた。

 さらに、2019年4月には、最新の海外規格を用いて「プラント内における危険区域の精緻な設定方法に関するガイドライン(以下、防爆ガイドライン)」を作成した。これにより、法令が定める保安レベルを低下させずに、プラント内での電子機器等の活用範囲を拡大することが可能となった。

 この2つのガイドラインを組み合わせて活用することで、ドローン飛行可能性を広げることができる。今回、有効性を確認するための実証実験を実施し、その成果を事例集に反映し改定した。

 今回実施した実証実験は、1)稼働中の樹脂製造施設の上空からの巡回撮影、2)タンクの至近距離からの外面撮影と、従来の点検方法との比較 の2件。実験は「防爆ガイドライン」にもとづき危険区域の見直しをした後、「ドローンガイドライン」に従ってリスクアセスメントとリスク対策、さらにドローン操縦者の力量も評価したうえで、飛行計画を作成して行った。

 この実証実験の結果を事例集に追加するとともに、国内企業のドローン活用事例を調査し、3件の屋内点検事例と1件の製鉄所での点検事例も事例集に追加した。今回の改定により、プラント保安分野におけるドローン活用がさらに促進されることが期待される。

実証状況(左:JSR株式会社 右:三井化学株式会社)

▼プラントにおけるドローン活用事例集ver.3.0
https://www.meti.go.jp/press/2021/04/20210414002/20210414002-1.pdf