2020年10月1日、Liberawareは、屋内設備点検用小型ドローン「IBIS」の新型機を同月リリースすることを発表した。STARVIS搭載の超高感度カメラにより、大型タンク内やボイラー内などの暗所における点検品質が向上している。

 暗所設備の映像がより鮮明になることで、同社が得意とする3D化や点群化といった映像解析の幅が格段に広がるという。ボイラーやタンク、配管内など、人が進入するのに危険や費用が伴う設備の点検業務について、ドローンおよび映像解析技術により、設備保全業務のデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進に貢献していく、としている。

新開発 “人間の目よりも明るく見える”超高感度カメラ

 IBISにはLED照明が装備されており、同社ではこれまでプラントや建設現場の暗所設備にて数多くの点検を実施してきた。しかし、暗い大型タンク内や配管内ではノイズが多く、鮮明さに欠ける映像となることがあり、点検の品質や映像処理業務(3D化や点群化など)に影響が出てくることが課題であった。

 今回、高感度なCMOSイメージセンサー「STARVIS」を採用したIBIS搭載用カメラを開発したことで、暗所であってもノイズの少ない鮮明な映像を撮影することが可能になった。屋内設備点検用としてSTARVISを採用したカメラを搭載するドローンは世界初だという(同社調べ)。

 新型IBISのリリースにあたり、竹中工務店の協力を得て、免震ピットの点検を実施。免震ピットは免震構造ビルの建物を支える免震ゴムやダンパーなどの装置が配備されている空間で、暗くて狭い環境である。IBISを活用した撮影により、作業員は免震ピットに進入することなく免震ゴムやダンパーの異常の有無をチェックできることを確認したほか、同機の新カメラが旧カメラと比べ効果的であることも実証された。

新旧比較画像

 比較写真はいずれも照明が完全にOFFの環境下での飛行撮影。

 上段が新カメラ、下段が旧カメラ。旧カメラはノイズが多く暗い映像になってしまう。

新カメラ
旧カメラ

 上段が新カメラ、下段が旧カメラ。新カメラの方が全体的に明るく鮮明に撮影できる。

新カメラ
旧カメラ

新型IBISの主な特徴

・超高感度カメラ
 暗所でも鮮明に映る超高感度カメラを搭載。

【―比較動画-】
カメラ比較(チャート編)
カメラ比較(オフィスフロア編)

・狭小空間における安定飛行性能の向上
 フライトコントローラーの改良を図り、狭い配管内での飛行がより安定した。

・操縦者用モニターに相対方位を表示する機能を追加
 煙突内のような同じ模様が続く空間では、パイロットが方向感覚を失うこともある。この機能により、3D化などの映像処理を行ううえで必要なオーバーラップを維持した撮影を行いやすくなる。

・広角仕様のため外周部が湾曲してしまう映像を、点検現場にて即座に補正して確認
 ドローン機体(ハード面)だけでなく、点検現場にてスムーズなドローン飛行をアシストできるアプリケーション(ソフト面)の充実も図っている。

補正前
補正後

産業用小型ドローンIBIS(設備点検型)概要

サイズ  :191×179×54mm(プロペラガード込み)
重 量  :185g(バッテリ込み)
装備類  :LED照明、防塵用モーター、独自設計のプロペラ 他
活用シーン
煙突の中や配管内、ボイラー内部、屋根裏といった人が進入することのできない、もしくは進入すると危険な場所の点検や計測に活用されている。特に足場の設置が必要な現場などでは、安全面・時間面・費用面において大きなメリットがある。今後は、橋梁やエレベーターの内部、大型船舶のバラストタンクやカーゴホールドの内部などの新たなフィールドでの活用に取り組む。