2020年9月1日、日本航空(以下JAL)は、ドローンなどの無人航空機を安全に管理・運航できる人財の育成のための講座「JAL Air Mobility Operation Academy」(以下、JAMOA(ジャモア))を、10月5日(月)から運営することを発表した。JAMOAは、日本で初めて航空機のパイロット訓練のノウハウを活かした座学カリキュラムを提供する。
JAMOA概要
開講日
2020年10月5日(月)以降、毎月開催予定 ※予約受付は2020年9月1日から開始。
募集人数
各コース10名程度 ※講習形式および会場のソーシャルディスタンシング対策によって変更する。
コンセプト
ドローンをはじめとする無人航空機は、新たな生活様式への対応や新型コロナウイルスの感染リスク低減に向けた取り組みでの活用が期待されており、今後、無人航空機のオペレーターは、安全運航を実現する技術とリスクを事前に察知し回避する高い安全意識がこれまで以上に求められる。
JAMOAの座学カリキュラムでは、現代の航空機事故や不安全事象における主な要因であるヒューマンエラーの防止に効果的な、最新のパイロット訓練ノウハウを応用したプログラムを提供する。無人航空機の産業利用に必要な操縦技能や活用技術などの「Technical Skills(テクニカルスキル)」を学べるコースと、認知力・判断力・コミュニケーション力といった「Non-Technical Skills(ノンテクニカルスキル)」の能力向上を図る3つのコースを用意し、無人航空機を安全に管理・運航できる人材の層を厚くしていくことを目指す。
講習内容
Technical Skills
無人航空機の産業利用に必要な操縦技能や活用技術などを学べるコース。主に「航空機の操縦に関わるスキル、標準として定められた手順を行うスキル」を指導する。講師はパートナー企業が務める。
1. JAL Technical Skills「Standard」
・ドローンの基礎と活用技術 ~計測のための撮影技術~
ドローンを活用する現場で第一線を担う著者がこれまでの経験をもとに書き記したテキストを使い、ドローンの仕組みや活用法を講義する。ドローンの仕組みや操作方法などの初歩的な知識から、カメラに関する基礎知識、航空法や電波法など法律に関することまで正しく理解し、実際の現場で実践できるドローン活用術を身につけるようになることを目指す。
コース名 | T-STD-01 |
領域 | Technical Skills |
形体 | 座学のみ |
講師 | SkyLink |
期間 | 3日間 |
受講料・定価/1名分 | 550,000円(税込み)※単独開催無し |
受講資格 | なし |
その他 | ※JAL Non-Technical Skills 「Standard」と併せたJAMOAスタンダードパックでの受講が必須で、受講料は両コース分を含む。 |
Non-Technical Skills
認知力・判断力・コミュニケーション力といった「Non-Technical Skills(ノンテクニカルスキル)」の能力向上を図る。「Standard」「Advanced」「Instruction Skills」3つのコースを用意しており、主に「航空機の運航に必要な知識、判断および対人に関わるスキル」を講義する。講師はJALが務める。なお「Standard」 および 「Advanced」 はオンライン形式でも提供する。
1. JAL Non-Technical Skills 「Standard」
JALの運航乗務員が実際の訓練で行っている授業内容を要約したもの。個人ワークおよびグループワークを通じて指導していく。単に答えを教えるといった講習ではなく、「安全のためにどのように考えていけばいいのか」を身につけ、受講者自身が考えて答えを導き出すことができるようになることを目標とする。
・Human Performance :人間は情報処理においてErrorを起こすことを体験から学び、その「Error Management」方法などを講義する。
・Safety Management :安全を維持するための基本的な考え方、「Threat & Error Management」方法などを講義する。
コース名 | N-STD-01 |
領域 | Non-Technical Skills |
形体 | 座学/オンライン |
講師 | JAL |
期間 | 1日間 |
受講料・定価/1名分 | 165,000円(税込み) |
受講資格 | なし |
2. JAL Non-Technical Skills 「Advanced」
JALの運航乗務員が実際の訓練で行っている授業内容を要約したもの。個人ワークおよびチームワークを通じて指導していく。Advancedでは、Communicationの重要性を理解し、相手に伝える姿勢と相手から聞き出す姿勢の重要性、そして実践するために必要な考え方を理解することを目標とする。
・JAL Communication Arts :航空機の運航の中では事故に直結する場合がある「Communication Errorを防ぐ技術」を体系的に講義する。
コース名 | N-ADV-01 |
領域 | Non-Technical Skills |
形体 | 座学/オンライン |
講師 | JAL |
期間 | 1日間 |
受講料・定価/1名分 | 220,000円(税込み) |
受講資格 | JAL Non-Technical Skills 「Standard」受講者 |
3. JAL Non-Technical Skills 「Instruction Skills」
JALで実際に行っている飛行教官任用訓練を要約したもの。個人ワークおよびチームワークを通じて指導していく。
・指導者育成プログラム :教官向けに行なっている「訓練乗員のやる気を引き出し、自分で気付き、自らSkillupすることを支援するプログラム」を、一般向けに講義する。
コース名 | N-ISR-01 |
領域 | Non-Technical Skills |
形体 | 座学のみ |
講師 | JAL |
期間 | 1日間 |
受講料・定価/1名分 | 275,000円(税込み) |
受講資格 | JAL Non-Technical Skills 「Standard」「Advanced」受講者 |
JALは、これまで「ドローンPROパイロット技能認定会」への協賛(*1)やドローン(*2)および無人ヘリコプター(*3)を活用した実証実験などを通じ、無人航空機のオペレーションに必要な技術や知識について研究を重ねてきた。
今後、新たな生活様式への対応や新型コロナウイルスの感染リスク低減などでも無人航空機の活用場面が増えることが期待される。そこで、JALが航空会社として安全運航を堅持する中で長年培ってきた、運航面・人財育成面でのノウハウを、無人航空機をはじめ次世代エアモビリティの進歩発展に向けた運航プラットフォームの構築に応用し、日本の空の安全に貢献していく、としている。
▼ JAL Air Mobility Operation Academy
https://www.jal.com/ja/jamoa/
*1 「JALは、「ドローンPROパイロット技能認定会」に協賛します」(2018年11月28日付プレスリリース)https://press.jal.co.jp/ja/release/201811/004974.html
*2 「JALと兵庫県養父市が連携協定を締結、ドローンを用いた地域課題解決を目指す」(2020年1月24日付プレスリリース)https://press.jal.co.jp/ja/release/202001/005461.html
*3 「国内初、無人ヘリコプターによる空港間目視外飛行で貨物輸送実験を実施」(2020年2月25日付プレスリリース)https://press.jal.co.jp/ja/release/202002/005503.html