2020年6月17日、ミライト・テクノロジーズは、ドローン事業を専門とする「株式会社ミラテクドローン」(以下ミラテクドローン)を、2020年7月1日に設立することを発表した。

 ミライト・テクノロジーズでは、ドローンを「動くセンサー」と捉え、今後のIoT領域において可能性がある分野として、2017年よりドローン事業に参入した。ドローンスクール事業をはじめ、各種設備や建物等の点検業務、他の事業者のドローン運航代行などのサービスを提供している。
 ドローンスクールでは、約600名のパイロットを育成してきた。各種設備や建物等の点検業務においては、他社との協業やアライアンスを積極的に行い、3D自動航行、運航管理、リアルタイム中継、高速画像伝送、画像解析などのサービスを提供。運航代行サービスでは、農業散布や測量等の高い技術を習得したパイロットを150名以上の体制で提供している。
 これまでに、点検業務と運航代行サービスを合わせ3,000件を超えるフライトを行っており、さまざまな分野での高度なフライト及びオペレーションノウハウを蓄積し、総合的なドローンサービス機能の充実を図ってきた。

 一方、日本国内のドローンビジネス市場は、農業をはじめインフラ点検や測量など幅広い領域において活用が広がっており、今後は特にインフラ設備老朽化に伴う構造物の点検分野の市場拡大が見込まれている。このような市場環境において、ドローン市場の拡大が今後一層加速すると想定されること、高度で幅広いサービスを提供する技術及び人材などの体制が整ったことから、新会社を設立するに至ったという。これにより、意思決定の迅速化を図るとともに、設備点検分野を中心とした幅広いサービスメニューをインフラ設備会社や地方公共団体、ビル管理会社、農業法人等に提供し、更なるビジネス拡大に取り組んでいく、としている。

ミライト・テクノロジーズ発表資料より

 ミラテクドローンでは、特に「アライアンス」「販売・システム」「人材・スクール」の3領域でビジネスを展開する。中心となる「アライアンス」では、インフラ設備点検や農業分野において、撮影だけでなく高度な画像解析や測量サービスの拡大を図っていく。また「販売・システム」の分野においても、ドローン機材販売、リースに加え、保守サービス、ドローン運営システム構築のコンサルティングを行い、ビジネスを強化する。さらに、ドローン操縦の基本スキル講習に加え、構造物点検や測量等の専門スクールを展開する。

ミライト・テクノロジーズ発表資料より

 7月1日より、設備点検に関するトライアルの成果を活かした新サービスとして、大規模公園の管理支援を行う「ドローンパークマネージャー」、上水道貯水池の水質点検を支援する「ドローンウォーターチェッカー」、ゴルフ場の芝管理を支援する「ハイクオリティ・ターフマネジメントシステム」の提供を開始する。

 同社はこれらのビジネス展開により、初年度は3.2億円、5年後には10.3億円の売り上げを目指していく。

株式会社ミラテクドローン 概要

設立2020年7月1日
代表者代表取締役社長 佐々木康之
本社所在地東京都品川区荏原1-20-10 ミラテク東京第一ビル
資本金1億円(資本準備金1億円)
株主株式会社ミライト・テクノロジーズ 100%
従業員数14名
事業拠点ドローンテクノポート神戸(兵庫県神戸市東灘区光洋町西3-1-10)
ドローンテクノポート熊谷(埼玉県熊谷市村岡345-1)
事業内容ドローンを用いたデータ収集・分析/販売・システム開発/スクール
URLhttps://www.miratecdrone.co.jp(2020年7月1日に公開予定)

新サービス 概要

大規模公園管理業務 支援システム「ドローンパークマネージャー」

 大規模な公園やレジャーランドでは、広大なエリアの安全管理や多くの施設・設備の点検など膨大な業務を、管理会社が短時間で行っている。本システムは、ドローンの活用により、エリア全体の状態管理や重要な設備・植生の劣化などさまざまな管理業務を効率化、高度化するものである。次の機能により、管理稼働の削減や点検の充実を図ることが可能となる。

1. ドローンでエリア全体を撮影し、その画像により異常の有無を点検する機能
2. 1の撮影映像を事務所へリアルタイム中継する機能
3. 園内建物、設備の高所部の点検をドローンにより安全に行う機能

貯水池水質検査 支援サービス「ドローンウォーターチェッカー」

 上水道事業者は、上水道の水質維持のため、ボートでの採水や藻類の発生の目視などによる貯水池の水質点検を定期的に実施している。本サービスは、ドローンを活用することにより貯水池の水質検査業務を効率化するもので、次の2種類のシステムがある。

1. ドローンによる水質検査用サンプルの採水
 貯水池岸から採水器を吊り下げたドローンを貯水池の任意の場所に飛行させ、ドローンにより採水するシステム。従来のボートによる採水に比べ、短時間かつ安全に採水を行うことができる。

2. 水中の藻類の発生状況調査
 貯水池全体をマルチスペクトルカメラを装着したドローンで撮影し解析することにより、水中の藻類の発生状況を可視化することができる。目視による点検では水中の藻類の発生を把握することは困難であったが、このシステムにより早期に対策を行うことが可能となる。

ゴルフ場管理支援サービス「ハイクオリティ・ターフマネジメントシステム」

 ゴルフ場の広大な面積の芝のコンディション維持業務には長年の経験が必要で、人材も不足している状況にある。マルチスペクトルカメラを装着したドローンでゴルフ場を撮影・解析し、芝状態を可視化することで、従来グリーンキーパーによる目視での点検業務を短時間で実施することができるとともに、目視ではわからない活性度の劣化状況を把握できるため、早期に対策を行うことが可能となる。