ドローンのAI管制システム、 ドローン空域シミュレーターなどのソフトウェアを開発するトラジェクトリーは、ドローンの利活用をはじめとした地域課題の解決や新産業創出の実現など、デジタルシティとしてのまちづくりを目指す石川県加賀市と昨年7月にドローン利活用に向けた連携協定を締結し、これまでドローンやエアモビリティなどの無人航空機によるサービス導入に向けたインフラ整備のため共同で研究開発を進めてきた。そして今回、ドローンによる加賀市塩屋町上空3平方キロメートルの範囲における3Dマップデータの作成、ドローンが建物などの障害物を避けて飛行できる安全な空域交通網の整備を行い、3月27日(金)に記者発表を実施した。今春より、無人航空機の自律飛行に向けた実証実験を新たに開始する。

加賀市塩屋町上空3Dマップ例
3月27日(金)会見の様子。加賀市で実施した会見には代表の小関賢次氏が出席した(左)。新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、同社メンバーはアバターを活用してリモートにて東京から会見に参加した(右)。

研究開発と今後について

 今回、同社と加賀市は共同で、ドローンを活用して3Dマップを作成し、加賀市塩屋町上空3平方キロメートルの範囲においてドローンが建物などの障害物を避けて飛行できる安全な空域交通網の整備を行った。加賀市の廃校となった旧緑丘小(大聖寺瀬越町)のグラウンドからドローンを飛ばし、近くの加賀市塩屋町地区(約3平方キロメートル)を、地上約100mから撮影。ドローンで撮影した写真をデジタル処理し、一つひとつ位置座標や高さ情報を持った点群データに変換を行い、空域交通網整備に必要な10センチ精度の3Dマップを作成した。今春より、完全無人自律飛行に向けた実証実験を開始する予定である。

 同社のAI管制システムは、4Dトラジェクトリーベースの空域管理により、複数機体が建物や他機体に衝突しない安全なルートをリアルタイムに提供することができるため、加賀市の目指す災害時の物資輸送や被害状況の確認に加えて、物流及び監視・点検といった商業利用などにも3D地図をベースとしたデジタルツイン技術を活用し、デジタルシティとしてのまちづくりの実現に向けて引き続き研究開発に取り組んでいく、としている。

AI管制システムTRJXとは

 AI管制システムTRJXは、UTMに求められる運航管理機能に加え、複数の無人航空機が同時に展開可能で安全な飛行ルートを自動生成する機能を実装している。コアテクノロジーである4Dトラジェクトリー技術は、無人航空機の航路(軌道)を高精度に推定するアルゴリズムである。