ドローン・ジャパン株式会社は、 米をはじめとする日本の田畑生産者の栽培の“技”を広げ、遺し、伝承するために、その栽培を「見える化」する「DJアグリサービス」を2017年4月より開始する。
このサービスは、マルチスペクトルセンサーを搭載したドローンを活用して、精密なリモートセンシングを行う。収集したデータを画像解析ソフトウェアにより分析したうえで、契約農家にレポートを提供するという仕組みだ。
初年度(2017年9月まで)は100圃場限定で「農業者向け栽培支援サービスの開発事業者」「生産契約法人(農協、食品流通、飲食事業者など)、「生産法人」向けに早期導入プログラムを開始する。価格は栽培期間1ha(ヘクタール)あたり4,500円から。

DJアグリサービスの特徴

DJアグリサービスの仕組み

DJアグリサービスは4つの要素によって構成されている。

1.リモートセンシングサービス
マルチスペクトルセンサー(米国MicaSense社製)を搭載したドローンによる精緻な自動航行による各圃場・作物・生育段階にあわせた画像センシング

2.クラウドサービス
ドローンにより収集した圃場の各種センシングデータと航行データのクラウド管理・運用・解析サービス

3.データ提供サービス
農業アプリ事業者向けにドローンにより収集したセンシングデータ、各種植生指数を用い、圃場ごとの生育状態 を見える化したデータの提供サービス

4.レポートサービス
生産者・生産契約者向けにドローンにより収集したセンシングデータをもとに作物の生育状態を見える化する圃場レポ―トサービス

DJアグリサービスの構築に携わった方々(敬称略)
左から)ドローン・ジャパン株式会社 代表取締役社長 勝俣喜一朗
投資家 千葉功太郎
市川農場 代表 市川範之
拓実の会 代理
三門農園 代表 三門増雄 
ジャパン・ドローンズ株式会社 代表  Randy Mackay
東京大学 大学院農学生命科学研究科 生物機械工学研究室 准教授 農学博士 海津裕
東京大学 大学院農学生命科学研究科 附属生態調和農学機構 特任助教授 農学博士 郭威
ドローン・ジャパン株式会社 取締役会長 春原久徳

本サービスを提供できた背景は、ドローンの専門家や農業に特化したデータ解析の専門家、篤農家の人たちとの連携にある。自律飛行に関しては、ジャパン・ドローンズ(代表Randy Mackay氏)と協同開発。作物の生育を「見える化」するために必要な画像データを精緻にリモートセンシングすることにより取得することが可能になった。取得した画像データを植生解析し、保管するクラウドサービスには日立システムズの「ドローン運用統合管理サービス」を活用している。
データ解析では、東京大学農学生命科学研究科と連携し「DJメソッド田畑数値比較システム」を開発、活用する。また、サービスを全国展開するに当たり、ドローンのオペレーター集団「DJキャラバン隊」を組織し、データ収集に取り組んでいくという。

ドローンで取得したデータを解析

ドローン米プロジェクト

同社は、収穫した米の流通や海外への輸出も視野に入れている。
すでに農薬化学肥料に極力頼らない3軒の篤農家が「DJアグリサービス」に協力しており16年産米が収穫している。これらの米をドローン米と定義し、パックご飯として2017年3月より販売する。なお、ドローン米のラベルに記載されたQRコードへアクセスすると、田園の風景や生育の様子が見られる。

ドローン・ジャパン株式会社代表取締役社長の勝俣喜一朗氏によれば「日本から海外へ米が輸出されることは少ない。なぜなら、米をそのまま輸出すると関税が非常に高いが、パック化することで関税が抑えられる。また、炊いてすぐにパック化することで米の風味も保たれる」とのことだ。

(左)ドローン米(右)ドローン・ジャパン株式会社代表取締役社長の勝俣喜一朗氏

勝俣氏は「日本の米の生産高は年間800万トン。一方で、日本から世界に輸出されているのはわずか4000トン。全世界で流通しているお米は年間2500万トンもあるにも関わらず、日本のシェアは1%にも満たない。今後、日本の米の良さを伝えていけば、輸出量はもっと増やせる。例えば、カリフォルニア米は全世界流通量に対して8%のシェアがある。日本のお米も4%くらいまではいけると考えている。もちろん、課題は多いので、ひとつひとつ着実に取り組みたい」と今後の展望を語った。同社は、ドローン米プロジェクトに共感する販売パートナーの募集をしている。
URL:http://drone-rice.jp/

ドローンジャパンが描く、農業へのドローン活用