新潟県を中心にドローンを使った物流プロジェクトを手がけるトンプラは、近年、ドローン関連技術の開発にも取り組んでいる。今回のプラントメンテナンスショーのブースでは、5月から販売を始めた非GNSS狭小空間におけるおもに点検用途向けの小型ドローンを展示していた。

「誰にでも飛ばせる」を目指した簡単操作の点検用ドローン

 トンプラは2021年6月に政令指定都市の駅前都心エリアにおけるドローン配送実証実験を新潟市で実施したのを皮切りに、フードデリバリー事業者やコーヒーチェーン店と連携したドローン配送サービス、さらには自動車部品のオンデマンド配送など、ドローン物流プロジェクトを数多く手掛けている。

 そんなトンプラは今回のプラントメンテナンスショーに、非GNSS狭小空間における点検用ドローンを出展。「Small Doctor02」と名付けられた小型のドローンは、約30cmスクエアのクワッドコプターで、工場や倉庫、トンネルや立坑といった空間で、構造物や設備を点検するためのドローンだ。

写真:Small Doctor02(モックアップ)の外観
トンプラが5月から販売を始めた非GNSS狭小空間点検ドローン「Small Doctor02」のモックアップ。

 近年、こうした屋内の狭小空間を飛行させて点検や調査に使うドローンは増えているが、その多くがGNSSの電波が受けられないために、ドローンを安定的に飛行させることが難しいものが多い。そのため、点検や調査のために設備を管理する利用者が、ドローン事業者に飛行を依頼する必要がある。しかし、近年「ドローンの点検作業を内製化するというのが利用企業のトレンドとなっている」(説明員)といい、ドローンの操縦に長けた人でなくても簡単に飛行ができるドローンが求められている。

 そこで同社では1年程かけて、非GNSS空間でも安定して飛行できるこのドローンを開発。本機は撮影用カメラとは別に、飛行制御用のカメラを搭載し、その映像からドローンが自己位置を推定することで、安定した飛行を実現しているという。「いわゆるビジョンセンサーの一種。ただしこうした技術を搭載すると、機体が大きく重くなるが、それを軽く小型化したのが独自の技術ノウハウ」(説明員)だとしている。

写真:機体前方を下から見上げた様子
撮影用カメラ(機体前方上部の白い部分)の下に、前方及び下方を撮影するビジョンポジショニング用のカメラがある。
写真:ドローンを操縦する様子を映したモニター。コントローラーから手を離しても、ドローンはホバリングしている。
ビジョンポジショニング機能によって自律的にホバリングができる。

 自己位置推定技術によって、コントローラーのスティックから手を離しても機体は自律的に安定したホバリングが可能。「誰にでも飛ばせることをコンセプトとしているため、スティックの感度も落とし、急にスティックを動かしても機体はゆっくり進むようにチューニングしてある」(説明員)という。

 本機を利用する場合、1か月あたりの利用料という形態としており、機体がバージョンアップされた場合には、ユーザーにも最新のものが提供されるようになっている。その価格は、「初めての企業でも使いやすいように、価格もなるべく落とした」(説明員)といい、代理店によって異なるが、1台あたりおよそ年間200万円弱だという。また、2泊3日のトライアル的な利用も可能となっており、「5月の発売以降、すでに5社を超える引き合いがある。機械部品系の企業が工場内の点検に使ったり、建設コンサルタント企業がインフラの管理に使いたいといったニーズがある」(説明員)という。

写真:四角い箱状の屋外用自動搬送車
トンプラでは近年、ハードウェアの開発にも取り組んでおり、屋外用自動搬送車(写真)や放水支援ロボットもブースで展示していた。

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