写真:古河産業の展示ブース。

 古河産業は大型ドローン「EAGLE49」を開発し、展示した。機体重量は20kg。1本9.1kgのバッテリーを2本搭載できる。積載が可能な重量は49kgとなっており、重量物の運搬に特化している。

第二種型式認証を取得したEAGLE49の特長

 本機は離陸重量25kg以上の機体では初となる第二種型式認証を取得。型式認証を取得する場合、「このような用途で、こういった使い方をする」という運用概念を定め、申請する。認証を受けた機体はこの運用概念に沿った飛行をするように決められている。本機においては「山間部で鉄塔などの重量物を搬送するために使用する」という内容で認証を受けている。なお、二等無人航空機操縦士以上の国家資格を取得していれば許可・承認を受けずに飛行できる……と早合点してはいけない。離陸重量25kg以上の本機を飛行させる場合は「カテゴリーⅡA飛行」に該当することから、航空局から許可を得ることが必須という点に注意。

さらにパワフルなEAGLE77の登場

写真:EAGLE77の外観。片側のアームは折りたたまれている。
EAGLE77は、バッテリーを3本搭載して飛行可能。アームを広げると1450mm四方のサイズ。

 EAGLE49の下方には、さらに大型の機体が展示されていた。その正体は「EAGLE77」。積載可能重量は77kg。これまで70kgの圧縮機(エンジン部)を運搬した実績を有するパワフルなマシンだ。従来、EAGLE49では電力会社向けの資機材を運搬していたが、前述の圧縮機のように対応できない50kgオーバーとなる資機材が増えてきていた。そういった背景を踏まえ、EAGLE77の開発が進められた。

写真:EAGLE77のアーム部分。
EAGLE49よりも径が太くなったEAGLE77のアーム。根本の部分も大きくなっている。

「EAGLE77は最大離陸重量が約140kgとなります。そのため機体の剛性を見直しました。そして77kgの物資を吊るとなるとアームの根元部分にかかる負荷の調整が必要になってきます。そこで設計面から見直し、強度計算もやり直して、アームの径を太くするなどして対応しました」(担当者)。EAGLE77についても第二種型式認証の取得に向けた申請を進めている。

 EAGLE49、EAGLE77とも物資は機体に吊り下げて運搬する。心配なのが運搬中に物資が横揺れ・縦揺れして飛行に影響を与えることだ。そこで横揺れに対しては揺れを迎えにいくように機体が自動で動き、縦揺れに対しては機体下部に搭載されたショックアブソーバーで軽減させている。

水上モビリティによる高度経済成長期のインフラ点検

写真:水上ドローンの外観。黄色い板状の船体の上に機材を搭載している。
写真:双胴船のような形状の水上ドローン。船体の上部に機材を搭載している。
写真:黒い船体の水上ドローン。船体の上部に機材を搭載している。
ブースに展示された水上モビリティ。現場環境に応じて、機体上部に搭載するカメラなどを交換して使用する。

 古河産業では水上モビリティを活用し、高度経済成長期に作られた橋梁や導水路、貯水施設といった設備の点検業務にも取り組む。ブースには3機の水上モビリティが展示された。フロートの上部に一眼レフカメラやLED照明などを搭載しているが、これらは現場環境に合わせてカスタマイズが可能。現場に最適化された機体を投入することで、精度の高いデータを取得できることをアピールしていた。

 なお、古河産業では夢想科学とともに、2024年8月に「水上モビリティサービス推進協会(略称SMS-SK)を設立予定。水上モビリティサービスの技術研究や業務を遂行し、普及促進を進めていくねらいだ。

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