水中ドローンの利用シーンが急増、上下水道、発電所、船舶点検で活躍
FINDiは水中ドローンの研究・開発と、それを使用した点検業務を行っている。水中ドローンが使用されるシーンは格段に増えてきており、同社では上下水道関連、発電所、船舶の点検で水中ドローンを使用している。飲水や農業用水を貯めるタンクの内部を点検する際、人間が実施する場合、水をすべて抜いて内部に入る必要があった。水中ドローンを使用すればタンクの稼働を止めることなく、クラック(割れ目)やコンクリートの剥離、鉄筋のさびなどが確認できる。
また、下水処理場などで処理した水を海や川へ流すトンネルの点検は、人間のダイバーが行っていたが、高齢化やなり手不足で、手配が難しくなってきている。さらに点検箇所の撮影はダイバーの主観で行うため、必ずしも必要な箇所の画像が入手できないケースもあるという。
その点、水中ドローンを利用すれば、地上でリアルタイム映像の確認が可能となる。専門家がそばで操縦するパイロットに指示を出しながら、必要箇所の点検ができるのだ。人手不足を解消するだけでなく、高精度な点検も実現できる。利点が多いため、水中ドローンの利用は確実に増えてきている。
ペイロードの上部搭載で多彩な点検が可能に
さて、同社のブースでは水中ドローン「FF1」「FF2」の2機が展示されていた。FF1は機体販売されているモデル。FF2はFF1をもとにチューンナップされ、同社が受託した点検業務などに投入されている。一般販売は行われていない。FF2はFF1と比較し、機体が大型化。それにともないペイロードも2倍の約4kg(水中重量)まで増加している。
FF1、FF2に共通の特徴であり、他社製品と差別化を図っている点が、ペイロードを機体下部だけでなく上部にも搭載できることだ。点検する施設などの上部を確認する必要が生じた際、満水になっておらず空気層があると、通常の水中ドローンでは点検できない。その点、FF1、FF2であれば機体を水面に浮上させ、機体上部に搭載したライトで対象物を照射し、カメラで撮影・点検が可能になる。水中だけでなく、水上での点検にも対応できるのが大きな強みだ。また、濁った水の中で作業する状況も多いので、カメラだけで周囲の情報を収集しきれないということで、両機体とも音響ソナーを標準装備している。
リアルな訓練が可能なシミュレーターの開発
水中ドローンの操縦訓練に活用できるシミュレーターも発売されている。水中ドローンは飛行するドローンと比較し、動き出しがとてももっさりしている。また濁った水の中だったり、着底した衝撃で砂ぼこりが舞ったりして視界がきかないケースも多い。シミュレーターではそういった水中ドローンに特有の挙動や状況を再現している。実際に操縦を試してみて最も感心したのが、機体と地上を結ぶテザーケーブルまで再現されていること。機体とケーブルが絡むトラブルはわりとあるので、事前にシミュレーターで訓練を積めば安心して現場での実務に取り組めるだろう。
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